Quantcast
Channel: カーサ ブルータス Casa BRUTUS |
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2781

2025年、全国各地で行われる注目の芸術祭・建築祭5選。

$
0
0

January 3, 2025 | Art, Architecture, Design, Travel | casabrutus.com

外国からもたくさんの人が訪れる「瀬戸内国際芸術祭」を始め、新しいものも加わって2025年も充実の芸術祭が目白押し。海で、山で、街中で、見逃せない5つの芸術祭を紹介します!

●香川『瀬戸内国際芸術祭2025』(春:2025年4月18日〜5月25日、夏:8月1日〜31日、秋・10月3日〜11月9日)

(過去作品)レオニート・チシコフ《月への道》 photo_Keizo Kioku
(過去作品)サラ・ハドソン
(過去作品)ジャッガイ・シリブート(タイ) courtesy 100 Tonson Foundation
高松港、男木島、女木島を結ぶフェリー「めおん」。ドットアーキテクツが内外装をデザインした。 photo_Keizo Kioku

第6回を迎える2025年の「瀬戸内国際芸術祭」は、いつものように春・夏・秋の3会期に分けて開催される。会場はこれまでの直島や高松港のほか、夏会期に香川県さぬき市の志度・津田エリア、東かがわ市の引田エリア、秋会期に宇多津町の宇多津エリアが加わり、全部で17のエリアになる。

総合ディレクターは北川フラム、主な参加作家は梅田哲也、小谷元彦、ニキータ・カダン、建築家の大西麻貴+百田有希など。また、アジアとの関係性を深めるべくタイのジャッガイ・シリブート、台湾の雲門舞集といった作家も参加する。さらに、ニュージーランドの先住民族にルーツを持つサラ・ハドソン、月をモチーフにした作品などを制作しているロシアのレオニート・チシコフ&マリーナ・モスクヴィナら、世界の諸相を見ることができる作品も見どころのひとつだ。

会期中は周辺の8館で「瀬戸芸美術館連携プロジェクト」が行われる。〈大原美術館〉の『森村泰昌展(仮称)』(2025年10月7日~11月9日)、〈兵庫県立美術館〉の『特別展 藤田嗣治×国吉康雄展(仮称)』(2025年6月14日~8月17日)など、芸術祭と合わせて見たい特別企画が並ぶ。共通チケット、周遊ツアーなどでじっくり鑑賞したい。

●大阪『Study: 大阪関西国際芸術祭 2025』(2025年4月13日~10月13日)

Ron Mueck, Untitled(Man in a sheet),1997 © Ron Mueck Courtesy of Olbricht Collection and Anthony D'Offay, London Photo: Joachim Fliegner, Bremen
Patricia Piccinini, The Comforter, 2010 © Patricia Piccinini Courtesy of Olbricht Collection and the artist
Maurizio Cattelan , Ave Maria , 2007 © Maurizio Cattelan Photo: Attilio Maranzano Courtesy of Maurizio Cattelan's Archive and Institute for Cultural Exchange, Tübingen
釜ヶ崎芸術大学 大阪関西国際芸術祭展示風景 2022

2022年からプレイベントとして3回開催された『Study:大阪関西国際芸術祭』。2025年、大阪・関西万博の開催に合わせて規模を拡大して開催する。

本芸術祭には、見る人を圧倒する巨大な人体彫刻で知られるロン・ミュエク、生命体のようなユニークなオブジェを作るパトリシア・ピッチニーニ、現代社会の矛盾をユーモラスな視点で喚起するマウリツィオ・カテランらが参加する。彼らの作品は安藤忠雄設計の〈大阪文化館・天保山〉(旧サントリー・ミュージアム)に展示される。

また、西成エリアではアートの力で多様な出会いを生み出してきたアートプロジェクト「釜ヶ崎芸術大学」と、手芸を通じて記憶を紡ぐ活動で知られる「kioku手芸館 たんす」を拠点に活動する「NISHINARI YOSHIO」が参加、より包括的な展開を見せる。

会場には他に黒川紀章設計の〈大阪府立国際会議場〉(グランキューブ大阪)や船場、JR大阪駅エリアなど。さらには大阪・関西万博会場内でも『Study:大阪関西国際芸術祭/ EXPO PUBLIC ART』を開催する。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする万博年に「人間とは何か」「アート×ヒト×社会の関係」を考察する芸術祭だ。

●愛知 国際芸術祭「あいち2025」(2025年9月13日〜11月30日)

国際芸術祭「あいち2025」キービジュアル。 ©五十嵐大介
メイサ・アブダラ《EVAPORATING SUNS》 2023
ダラ・ナセル《Adonis River》 2023 Commissioned by the Renaissance Society, University of Chicago, with support from the Graham Foundation and Maria Sukkar; courtesy of the artist
沖潤子《anthology》 2023 FUJI TEXTILE WEEK, Photo by Kenryou Gu

2010年から3年ごとに開かれている都市型の国際芸術祭。〈愛知芸術文化センター〉などを拠点に、瀬戸市など周辺地域の街中へも広がりを見せ、広域に展開する。

芸術監督はシャルジャ美術財団理事長兼ディレクターであり、国際ビエンナーレ協会会長のフール・アル・カシミ。終末と再生の間で来たるべき世界について思考する「灰と薔薇のあいまに」をテーマに掲げている。

出品作家は陶の素材を用いて土や鉱物の原初性を探る小川待子、布に精緻な針目を重ねる沖潤子ら。海外からはレバノン出身のダラ・ナセル、アラブ首長国連邦出身のメイサ・アブダラ、ケニア出身のワンゲシ・ムトゥらが参加する。パフォーミングアーツでは日本を拠点とする態変、チュニジア拠点のセルマ&ソフィアン・ウィスィらが公演する予定だ。

フール・アル・カシミは幅のある考え方、中間にある状態、さまざまなものの「あいだ」にあるものが鍵だという。0か100か、といった考え方では割り切れないものにアートが光をあてる。

●東京『東京お台場トリエンナーレ2025』(2025年10月18日〜12月25日)

会場の一つ〈台場公園〉。ペリーの黒船来航に備えて作られた人工島だ。
草間彌生 《ナルシスの庭》 上海当代美術館でのインスタレーション・ビュー 1966/2013年 ©YAYOI KUSAMA, Courtesy of Ota Fine Arts
笹岡由梨子 《PLANARIA》 2020-21年 Photo:Taichi Saito
東京お台場トリエンナーレ2025 キービジュアル。植原亮輔と渡邉良重のユニット、KIGIがデザインを手がけた。

幕末、江戸の防衛拠点として築造された人工島「お台場」。そこに設置された砲台からは結局、一度も砲弾が放たれることはなかった。ある意味では日本と外国との接点として作られたこの場所で『東京お台場トリエンナーレ』が開催される。初回となる2025年のアーティスティック・ディレクターは建畠晢、三木あき子、山峰潤也の3人。参加作家として草間彌生、笹岡由梨子、ルー・ヤンらが名を連ねる。そのほかの参加作家も随時、発表される予定だ。

テーマは「泰平の眠りを覚ます上喜撰 ―野生とカオスと新世界―」。幕末の狂歌「泰平の眠りを覚ます上喜撰たった四盃で夜も寝られず」からとったものだ。会場は〈台場公園〉、〈フジテレビ本社屋・湾岸スタジオ〉、〈日本科学未来館〉ほか。「お台場」の「o」や砲口をモチーフにしたキービジュアルはKIGIが手がけた。明治維新からおよそ150年、お台場で再び日本と海外が出合う。

●広島『ひろしま国際建築祭 2025』(2025年10月4日〜11月30日)

安藤忠雄が新館を設計した〈尾道市立美術館〉では、これまでにプリツカー賞を受賞した日本人建築家、8組9名を紹介する『ナイン・ヴィジョンズ:日本から世界へ 跳躍する9人の建築家』展が行われる。
禅宗寺院の境内をミュージアムに見立てた〈神勝寺 禅と庭のミュージアム〉も会場に。境内には藤森照信設計の寺務所〈松堂〉や茶室研究の大家・中村昌生設計の茶室、名和晃平によるアートパビリオン《洸庭》などが点在する。
1943年に建てられた海運倉庫をリノベーションし、2014年3月にオープンした〈ONOMICHI U2〉も会場の一つ。設計・デザインを手がけたのは、広島県出身の建築家、谷尻誠+吉田愛が率いるサポーズデザインオフィス。

各地で賑わいを見せる建築祭に、新たな都市が加わった。「ひろしま国際建築祭」は広島県福山市・尾道市を中心に広島県外のサテライト会場を含む10以上の会場で開かれる建築祭。モダニズムから現代建築まで、新旧の建築の発信地として注目を集めるエリアだ。

主な会場は名和晃平や藤森照信らによる建築、アートが集まる〈神勝寺 禅と庭のミュージアム〉、安藤忠雄設計の〈尾道市立美術館〉、谷尻誠+吉田愛率いるサポーズデザインオフィスが改修設計を手がけた〈ONOMICHI U2〉など。展示企画の一つ、『ナイン・ヴィジョンズ:日本から世界へ 跳躍する9人の建築家』はこれまでプリツカー賞を受賞した丹下健三から山本理顕まで8組9名の建築家を紹介するもの。そのほかにも建築に関する展覧会や、普段観られない建物を特別に公開するオープン・アーキテクチャーが予定されている。

この建築祭は今後、3年ごとに開催される予定だ。第2回目となる2028年には、現存しない丹下健三の自邸を復刻、公開したいという。見どころの多い広島の「建築力」に期待が高まる。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2781

Trending Articles