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東京・西麻布に出現した〈カリモク家具〉の新拠点で知る、木の多様性と可能性。

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December 12, 2024 | Design | a wall newspaper

〈KARIMOKU RESEARCH CENTER〉のこけら落としは注目のデンマークのスタジオによる“Survey(調査)”です。

木々の繋ぎ合わせた面が美しい棚は〈カリモク家具〉職人が作った。
「The Library」より。

天井高くまで、壁一面を覆う端正な木製の棚。それぞれのシェルフは引き出しが可能なトレイになっていて、無垢板のほかに、葉っぱや実の標本と、植生分布や特徴などを記した小さなブックレットが整然と収められている。

「トレイには、日本に自生する木々の情報が詰め込まれています。1枚が1種類で、全部で63種。〈カリモク家具〉が製品作りの際に木材を調達する森を訪れ、木々の多様性と個性に強く感動したんです。僕らの “Survey” のスタート地点になりました」

〈カリモク家具〉が東京・西麻布にオープンした新拠点〈KARIMOKU RESEARCH CENTER〉。多種多様なクリエイターとのプロジェクトを生み出すこの場所でそう話すのは、デンマーク・コペンハーゲン拠点のデザインスタジオ、〈Christian+Jade〉の二人。開催中の『Survey 0‌0:WOOD “The Age of Wood“』の “ゲストリサーチャー” として展示を行うにあたり、愛知県にある〈カリモク家具〉の本社工場の職人たちと会話を重ねたり、岐阜県の森林へ分け入ったりとリサーチを行ったそう。「The Library」と名づけたこの壁面は、精緻なフィールドワークで得た日本の木々にまつわる情報の集大成となっている。

窓側は「Years of a Tree」のセクション。
岩手県で採れた樹齢100年以上のスギ。
木の寿命をさまざまな角度から読み解く。
重りが揺れて触れることで木が変化していく。

展示はほかに、樹種ごとの木肌の色や特性を活かして、社会における木の変遷を描く一枚の絵に仕立てた屏風、空気中の水分に呼応して膨張/収縮する木の特性を活かしたオブジェなど、どれもひと目見るだけではっとする美しさを持つものの連続だ。加えてそれぞれが、木の特性や可能性を存分に引き出したものであることにも驚かされる。

「見た目の美しさと、その裏側のストーリーがきちんと紐づいているのは、私たちが大切にしていることです。木そのものの多様性、そして、〈カリモク家具〉の職人さんたちが歴史を重ねて得てきた知識。私たちのデザインが、その膨大な海の一面を知る手助けになっていたらいいな」

木材をサステナブルに活用できていた古代から江戸~明治~近現代の、社会と木の関わりが表現された屏風。
壁に据えられた円盤状の木の面に当たるのはUVライト。会期中に紫外線による木肌の変化を見せる試み。

『Survey 00:WOOD “The Age of Wood”』

2階では製品のサンプルなどを展示。〈KARIMOKU RESEARCH CENTER〉東京都港区西麻布2-24-2 TEL 03 6433 5995。~2024年12月26日。12時~18時。不定休。

クリスチャン+ジェイド

デンマーク生まれのクリスチャン・ハマー・ユールと、シンガポール生まれのジェイド・チャンによるデザインスタジオ。コペンハーゲンを拠点にクリエイションを行う。公式サイト


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