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〈&Tradition〉アートディレクターがつくる森に馴染む家|スウェーデン【北欧各国、クリエイターの住まい】

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December 7, 2024 | Design | 北欧各国、クリエイターの住まい

北欧を拠点に活躍するクリエイターは、どんな部屋に暮らしているのか。インテリアデザイナーからブランドのファウンダー、ギャラリストまで、北欧各都市、今をときめくクリエイターたちの部屋を訪ね、ドキュメントしました。 今回は、世界中を飛び回る若きアートディレクター、フィリップ・アウアベックのサマーハウス。週末ごとに通いながら自ら改装した手作りの家。木や石を多用したインテリアのディテールについて聞きました。

Area:ホイビュー
Size:80平米
Type:サマーハウス

フィリップさん(左)とパートナーでグラフィックデザイナーのユリウスさん(右)。ダイニングテーブルはユリウスさんのお祖父さんがデザインしたもの。右側がキッチン。

家具ブランド〈アンドトラディション〉のアートディレクターとして、国内外問わず出張の多いフィリップさん。週末を過ごすサマーハウスは、コペンハーゲンから西へおよそ70kmのホイビューの森の中にある。海にも近く、車で1時間ほどで市内との行き来ができる好立地だ。

「2年ほど前に、立地と1979年築の建物が気に入って購入し、すぐに改装にとりかかりました」

ダイニング側から見たリビング。ヴィゴ・ボーセンのラウンジチェア《リトル・ペトラ》(左)にフィリップさんが家族から譲り受けた1970年代のソファ(奥)が自然と馴染む。

一般的にデンマークではサマーハウスは家具付きで販売されるが、前所有者と内装の好みが違ったため、まず家具を寄付などで処分することから始めた。次に、ウッドプラスチックだった床を、オリジナルのサイザル麻に戻す作業と続く。一部はプロに任せたが、床材を敷いたり、天井の梁を黒に塗ったのはDIY。壁はナチュラルな感じを残すため、オイル仕上げにした。そうして少しずつ内装を整えてから家具を運び入れ、庭の敷石を配置した。週末ごとの作業は大変だったが、プロセスを存分に楽しんだという。

70年代の北欧建築に合う家具を集めました。

木製のダイニングテーブルとの対比を意識して、メタル脚のダイニングチェアを選んだ。
木目の表情が美しい壁とDIYで黒く塗った梁のコントラストが美しい。手前がキッチンで奥に見えるのが書斎。
レコードが積まれているのはユリウスさんの曽祖父が使っていた1870年代の箱。
市内からトラックで運んだ敷石を庭に設置。ここで野点を楽しむのだとか。

家具は、もともと持っていた〈アンドトラディション〉の椅子や、家族から引き継いだ家具をメインにソファを “デンマーク版メルカリ”〈DBA〉で見つけたりと、新旧ミックスにした。

「平日を過ごす市内の集合住宅は、メタルやガラスを素材としたコンテンポラリーなスタイル。サマーハウスは、建物が昔風だし、このあたりの森の雰囲気に合わせて、木や石などを多用し、色合いも最低限のナチュラルテイスト。どちらも北欧インテリアですが、それぞれで異なるスタイルを楽しんでいます」

ガラスドアでテラスに繋がる寝室。

フィリップさんは市内のアパートとサマーハウス間を、およそ2週間ごとに行き来している。ほどよい広さのキッチンガーデンの管理をしたり、仕事をしたり、友人や家族を呼んで食事をするのが、よい気分転換になっているという。

家具工房〈ルド・ラスムッセン〉によるモーエンス・コッホのオリジナル本棚は今となっては入手困難なレアピース。
ソファでくつろぐフィリップさん。ペンダントランプはイサム・ノグチ。
《バチェラーチェア》はユリウスさんの父親からのプレゼント。照明はカスティリオーニの《パレンテージ》。

フィリップ・アウアベック

1989年ノルウェー生まれ。ファッションブランド〈アウア〉を立ち上げた後、5年前から、家具ブランド〈アンドトラディション〉のアートディレクターとして、国内外で家具の展示や撮影などに関わる。公式サイト


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