November 14, 2024 | Design, Fashion, Vehicle | casabrutus.com
2024年10月19日に上海で開催された「The City of Genius」。2018年より続く〈モンクレール ジーニアス〉の最新がお披露目となり、お馴染みの〈FRGMT by Hiroshi Fujiwara〉から、注目の〈Jil Sander〉、そして〈A$AP Rocky〉まで、10組のコラボレーションが発表された。それぞれのパビリオンが建設され、インスタレーションが展開された豪華なイベントだったが、その中でも異彩を放っていたのが〈Mercedes-Benz by Nigo〉。その真相をNIGO®さんに上海で聞きました。国内独占インタビューです。
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──NIGO®さんと〈モンクレール〉は意外な組み合わせですが、きっかけは?
NIGO® これまで何度かオファーをいただいていたのですが、今回はタイミングが合ったという感じです。〈モンクレール〉と〈メルセデス〉のコラボレーションは、ファレル(・ウィリアムス)も参加した前回(2023年「The Art of Genius」)でもありました。《Gクラス》のルーフからホイールまでダウンにしてしまったすごいやつで。その流れもあり、今回もこの組み合わせになりました。
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──NIGO®さんと〈メルセデス〉の関わりは?
NIGO® 僕は以前にガルウィングの1954年製《300SL》を〈AMG〉で最新のV8エンジンに積み替えてアトリエに置いていました。今でもあのやり方は面白かったなと思っていて。今回も古いものを今の時代に合わせてリノベーションできるならいいかなと。個人的にも"ゲレンデ"(ヴァーゲン=《Gクラス》)は今まで20〜30台ずっと乗り継いできました。気づくとマイナーチェンジしているので。
●Mercedes-Benz Project G-Class Past II Future
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──"WHERE THE FUTURE IS DRIVEN BY THE PAST"ということですね。
NIGO® はい、"未来は過去にある"は僕のモノ作りのテーマそのものなので。今回、提案された車種は1970年代の《Gクラス》のカブリオレですが、思っていた以上にすごかったです。後ろのシートは両脇がベンチになっていて、フロントガラスは前方に倒れる仕様でした。その《Gクラス》を全部バラして組み直しました。ポイントはそのレストアを〈メルセデス〉が手がけたということ。車をカスタマイズするチューナーはいっぱいあると思いますが、今回はオフィシャルでリデザインできたのが良かったですね。そして、ルーフは〈モンクレール〉のダウンで覆いました。そのようにして完成したのが屋上に展示されていたアートピースです。そのデザインを現行の《Gクラス》に落とし込んだのがパビリオン内に展示されていたモデルで、それは実際に限定で販売されます。
●The exclusive Mercedes‑Benz G-Class Past II Future
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──〈モンクレール〉と〈メルセデス〉はどのように繋げていったんですか?
NIGO® まず〈モンクレール〉のロゴに〈メルセデス〉の「スリーポインテッド・スター」を組み合わせて新たなロゴを作りました。服に関しては〈ベンツ〉って1980年代のNYの成功したラッパーたちが乗る車というイメージがあり、その文化は冷静に考えたら面白いなと。
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──EPMDみたいな。
NIGO® そうそうそう(笑)、80年代のヒップホップ的な。そして、あの時代の〈ベンツ〉はシートがチェックだったりするんですよね。そこから着想を得てチェックのシャツを作ったりしていきました。一方で〈モンクレール〉は昔のアウトドアなイメージがあるので、70〜80年代のスポーツ的なイメージでグラフィックを作っていったりしました。そのインスピレーションで上質なスカジャンも作ったり。僕と言えば期待されるのはスカジャンなので(笑)。キャップなどに使った〈モンクレール〉のロゴはアーカイブから復刻させました。
●Moncler x Mercedes-Benz by Nigo
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──トータルでどれくらいデザインしたんですか?
NIGO® 全部で30ルックくらいあったかな。すべてサンプルまで作りました。〈モンクレール〉といえばダウンなので、ダウンも結構あったのですが、ローンチが2025年4月ということで最終的には半分くらいに落ち着きましたね。
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──車両が覆われて吊り上げられていたティザー動画も印象的でした。その意図は?
NIGO® ルーフトップのコンセプトで作りました。車のような本来は地上にあるべきものが上にあったら何か変な感じがして、それが面白いなと。全体を覆ったのはコンセプトモデルの発表前に公開される動画ということで焦らしですね。
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──アートピースの後部に搭載されたスピーカーは?
NIGO® デヴォン・ターンブルによる〈Ojas〉のサウンドシステムです。〈Supreme〉のショップやNYの〈USM〉ショールームでもサウンドシステムを手がけているのですが、それが結構すごくて。〈Ojas〉のサウンドシステムで自分がもっとも好きなジャズをかけたときは、その没入感に感動しました。
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──今回のコラボレーションはいかがでしたか?
NIGO® オファーをいただいたのは昨年ですが、当初はなかなか進みませんでした。〈KENZO〉のショーもあったりと忙しくて、うーん……という感じで自分もコンセプトを出し切れなくて。1980年代の成功したラッパーというイメージやムードを理解してもらうのも難しかったです。僕のデザインのプロセスとは、そういったカルチャーを気持ち的に乗せていくことが大事なので。ただ、実際に進み出したら〈モンクレール〉のデザインチームとは噛み合いました。その結果、すごく上手くいって良いコレクションができました。一方で、イタリアのブランドとパリのメゾンの違いも分かり、学びも多かったです。
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──〈KENZO〉と〈モンクレール〉、ディレクションは同じでもアウトプットは変わるということですか?
NIGO® 基本的には同じ人間のコンセプトのもとで作っているのですが、デザインチームが変わると自分のデザインがどこか違うものになるんだなぁ、という発見があったのは面白かったですね。
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NIGO®
クリエイティブディレクター。2010年に〈HUMAN MADE〉を立ち上げる。2020〜21年にヴァージル・アブローと「ルイ・ヴィトン LV スクエアード コレクション(LV²)」を発表。2021年9月に〈KENZO〉のアーティスティックディレクターに就任。クリエイティブの領域は、飲食、音楽、陶芸、設計まで多岐にわたる。