September 11, 2024 | Design | casabrutus.com
2024年9月9日(米国時間)、アップルはスペシャルイベントを開催。新型《iPhone》、《Apple Watch》、《AirPods》シリーズを一気に発表しました。ITジャーナリストの林信行による現地からの速報で、厳選された最新トピックス3つをお届けします。
アップル社が新型《iPhone》の発表を行う、毎年恒例9月の新製品発表イベントが行われ、《iPhone》だけでなく《Apple Watch》や《AirPods》シリーズも一新された。製品デザインが大きく見直され、画期的なヘルスケア機能が搭載されたことでも大きな話題を呼びそうだ。
1:新型《iPhone》、AI時代の幕を開く4モデル
新発表の《iPhone 16》、《iPhone 16 Plus》、《iPhone 16 Pro》、《iPhone 16 Pro Max》の4モデルは新しいAI時代の《iPhone》の最初の製品。AI関連の機能を最大限に活かす業界最速AI用プロセッサー、A18(ProモデルはA18 Pro)を搭載。新しいカラーバリエーションを用意し、新たに《iPhone》のカメラとしての使い勝手を向上させる「カメラコントロール」というカメラ操作専用の操作系が本体側面に追加されている。
《iPhone》を縦に構えても、横に構えても人差し指が自然に落ちる位置に配されたカメラコントロールは押すと一瞬でカメラ(あるいはビデオカメラ)の撮影状態になり撮影ができるボタンとしての機能と、2度押しして指をスライドさせることでズーム、露出、被写界深度などのカメラ設定の切り替えにも使える操作系になっている。Proモデルでは軽く押してピントと露出を被写体に自動的に固定することもできる。
《iPhone 16》と画面が一回り大きい《iPhone 16 Plus》は、ブラック、ホワイト、ピンク、ティール、ウルトラマリンの5つのあざやかなカラーバリエーションが用意され、これまでの着信/消音ボタンの代わりにユーザーがよく使う機能を割り当てられるアクションボタンに変更。側面に沿って一直線に並べられたカメラを利用して立体映像(空間ビデオ)と立体写真(空間写真)の撮影に対応。4800万画素のFUSIONカメラが2倍ズームの光学撮影に対応、オートフォーカスを備えた新しい12MP超広角カメラがマクロ写真撮影に対応したことで、4種類の異なるレンズでの撮影が楽しめるようになっている。
《iPhone 16 Pro》とサイズが一回り大きな《iPhone 16 Pro Max》は、好評だった軽量チタニウム筐体を活かしベゼルをさらに小さくすることでディスプレイサイズを大型化。ブラックチタニウム、ナチュラルチタニウム、ホワイトチタニウム、デザートチタニウムの4つのバリエーションを用意。
《iPhone 16》の全ての特徴を備えた上でこれまでMAXモデルのみだった5倍望遠カメラが一回り小さな《iPhone 16 Pro》にも搭載。業界初となる4K120フレームドルビービジョン品質の動画撮影に対応したり、写真に撮影者の好みを反映できるフォトグラフスタイル機能で、色、ハイライト、シャドウを微調整できるようになるなど大幅に強化している。
注目のAI機能「Apple Intelligence」はまずは米国のみでの対応で、メールの返信など簡単な文章を書いたり、表示されている文字情報を要約したりできるライティングツール、メールででの連続したやり取りを要約し全メールを読みかえさなくても要点がわかる機能、写真に写り込んだ人物や物を認識して消去する機能やChatGPTを使って文章を生成する機能などが提供される。
さらに今年後半に登場するOSのアップデートで、カメラをかざすだけでお店の情報や動植物の種類などを調べられる機能「ビジュアルインテリジェンス」も追加予定だ。気になる「Apple Intelligence」の日本語対応は来年の予定だ。
なお、《iPhone 16》と《iPhone 16 Plus》は、筐体に85パーセント再生アルミニウム、複数の部品に80パーセント以上再生スチールを使用するなど、全体で30パーセント以上再生素材を使用。《iPhone 16 Pro》と《iPhone 16 Pro Max》は、内部構造フレームに100パーセント再生アルミニウム、複数の部品に80パーセント以上再生スチールを使用するなど、全体で25パーセント以上再生素材を使用。どちらの製品のバッテリーも100パーセント再生コバルトと《iPhone》としては初となる95パーセント以上の再生リチウムを採用するなど環境配慮の取り組みもさらに前進している。
製品価格は昨年の同クラスの価格そのままで《iPhone 16》は124,800円から、《iPhone 16 Plus》は139,800円から、《iPhone 16 Pro》は159,800円から、《iPhone 16 Pro Max》は189,800円からの価格で提供される(いずれも税込)。
2:最新《Apple Watch》は睡眠時無呼吸症候群の可能性を検出
Apple Watchシリーズも刷新された。標準モデルの最新型《Apple Watch series 10》は、《Apple Watch》初となる広視野角の有機ELディスプレイを搭載。斜めから覗き込んだときの画面の明るさが40%向上している。画面サイズも前モデルと比べて最大9%、シリーズ6との比較では最大30%も大型化、一方で本体は10%薄型化している。
ローズゴールドとシルバーのモデルに加えて、30段階もの酸化皮膜処理を経て、深く、艶のある黒色に仕上げられた「ジェットブラックアルミニウムモデル」が登場。
さらに頑丈さと美しさを兼ね備えた鏡面仕上げのチタニウムモデルも登場。スレート、ゴールド、ナチュラルの3色の仕上げが用意されている。
スピーカーも大幅に改善されApple Music、Apple Podcast、Apple Books、他社製アプリなど様々なアプリで《Apple Watch》からオーディオを聴くことができるようになった。また充電が高速化し30分で80%まで充電できるようになった。
他にもスイミングのワークアウト向けに水温センサーが追加されたり、世界中にある115,000以上のビーチと5,000以上のサーフィンスポットのコンディションをチェックできる潮位アプリが追加されるなど機能面でも大きな進化を遂げている。
究極のスポーツウォッチ《Apple Watch Ultra》も新しくなり、新たに黒いブラックチタニウムモデルやエルメスとのコラボモデル《Apple Watch Hermès Ultra 2》が追加された。
《Apple Watch Hermès Ultra 2》には、さりげない「H」のモチーフとケースに合わせて特別に作られたチタニウムバックル、耐水性のあるブルー・ニュイ色のテクスチャードニットストラップ「アンメール」とペアリングされ、Hermès初めてのデジタル文字盤「Maritime」が用意されている。
series 10をベースにしたApple Watch Hermèsでは、初めてのメタルストラップとなるステンレススチール製の「グランH」、3色の色展開とシンプルトゥールとドゥブルトゥールの2つの形状が選べるニットバンド「トルサド」を用意。
また、Nikeとのコラボモデル《Apple Watch Nike》も一新。大胆な新色のNikeスポーツループとNikeスポーツバンドが用意された。
新しい《Apple Watch》で、最も注目すべきは新たに睡眠時無呼吸の兆候を教えてくれる「呼吸の乱れ」という機能が追加されたことだろう。なお、この機能は《Apple Watch Ultra 2》に加えて、series 9以降の《Apple Watch》でも利用できる。
Series 10のケースは、100%再生アルミニウムまたは95%再生チタニウム製など環境に配慮した設計となっている。
製品価格は《Apple Watch series 10》のアルミニウムのモデルが5万9800円から、チタニウムのモデルが10万9800円から、《Apple Watch Ultra 2》が12万8800円から、《Apple Watch Hermès Ultra 2》は220,800円となっている。
3:《AirPods》シリーズも一新、《AirPods Pro》には聴覚保護の新機能
世界的に人気のヘッドホン《AirPods》シリーズも一新されUSB-C端子を使った充電が標準になった。
人気のオーバーイヤーヘッドホン《AirPods Max》もUSB-C端子とミッドナイト、スターライト、ブルー、オレンジ、パープルの5つの新色でリニューアルとなった。
オープンイヤーデザインの《AirPods 4》は3Dフォトグラメトリーやレーザートポグラフィーなどの高度なモデリングツールを使って、何千もの耳の形状や5000万以上のデータポイントを精密にマッピングし解析して再設計、どんな耳の形にもよりしっかりとフィットするようになっている。アップルが多くのコンテンツサービスで提供している空間オーディオにも対応した。
《AirPods 4》には通常モデルに加えて8000円高いアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能付きのモデルも用意される。ANC機能だけでなく、ワイヤレス充電や《iPhone》を使ってどこにあるかを探す機能にも対応している。充電機能を備えたケースも小型化されており、ワイヤレス充電機能を備えたケースとしては業界最少となっている(ANC無しモデルもケースのサイズは同じ)。
一方、最も人気が高い《AirPods Pro 2》には新機能が追加に。世界に約15億人いる難聴を減らすために3人に1人が影響を受けている聴覚に影響を及ぼす可能性のあるレベルの大きな環境騒音を低減したり、数分で診断できる聴力テストのヒアリングチェック機能を搭載する。また軽度から中程度の難聴が認められる人向けに臨床レベルの補聴器の性能を備えた処方箋不要のヒアリング補助機能を提供する。
《AirPods 4》は、製品内のマグネットは100パーセント再生希土類元素、複数のプリント回路基板のメッキに100パーセント再生金を使用。ケースにも、メインロジックボードのはんだ付けに100パーセント再生スズ、ヒンジに100%再生アルミニウムを使用するなど環境配慮も行なっている。
製品価格は《AirPods 4》の通常モデルが2万1800円、アクティブノイズキャンセリング搭載モデルが2万9800円、《AirPods Pro》が3万9800円、《AirPods Max》は8万4800円となっている。
一連の新製品発表は、人々の健康を守る機能やAI機能で暮らしの質を改善するAppleの挑戦が新しいチャプターを迎えたことを教えてくれている。