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佐藤可士和×今村翔吾のシェア型書店〈ほんまる〉は出版業界の救世主になるか!?

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June 22, 2024 | Design | a wall newspaper

直木賞作家の今村翔吾が東京・神保町に開店したシェア型書店〈ほんまる〉のブランディングを担う佐藤可士和に戦略を聞きました。

靖国通りから一本入った路地に開店した〈ほんまる〉店頭に立つクリエイティブディレクター佐藤可士和。店舗からグラフィックまで、トータルにブランディングした。

全盛期の2万店から半減し、現在も1週間に1店舗が閉店に追い込まれている書店業界。そのような状況に一石を投じようと、2店の経営に乗り出してきた作家・今村翔吾が東京・神保町にシェア型書店をオープンした。

「小説のストーリーを結末から逆算するように、本屋がなくなる前提からシェア型書店を構想した」という今村が、「ダメ元で」依頼した相手が佐藤可士和だ。

ツガ材を贅沢に使った棚が並ぶ。

「さすが直木賞作家で、13枚もの達筆の手紙を読んでいたらストーリーに引き込まれて、最後は何か手伝わなきゃいけないのかな、と(笑)」。書店の消滅を食い止めるには、コンテンツやデザインだけでなく、システムから考えなければならない。そう考えた佐藤は〈ほんまる〉を「小さなモール」と定義した。シェア型書店の入居者「棚主」に貸し出す棚を主役に据え、稀少なツガ材を採用。さらに図書館で本のダミーとして使われる「代本板」を、看板代わりにデザインできるようにした。

「本」と「〇」を組み合わせたロゴは「傘連判状のように上下関係がない連帯」を示す、と今村。

「木のいい匂いがして、マニアックな個人の棚の隣に大企業の棚、という面白さがあります。僕も棚主になって、幼少期から現在まで影響を受けた本を販売しています」

早くも神保町の新名所となっているが、販売中の本は公式サイトでも確認可能。新たな書店モデルとして、全国展開も夢ではない!?

「何時一冊書 読輿細論文」は、いつか本を1冊、一緒に読んで文について語り合いたいという意味。唐の詩人・杜甫の「何時一尊酒、重與細論文」にちなむ。

〈ほんまる〉

個人から企業や自治体まで、月額料金4,850円〜で「棚主」になれるシェア型書店。出品から在庫管理、売上金確認までオンラインで完結。新刊書の仕入れも可能で、書店経営の経験が積める。東京都千代田区神田神保町2-23-5 北井ビル1F・B1 TEL 03 6272 9940。11時30分〜19時。無休。

佐藤可士和

さとうかしわ 1965年東京都生まれ。クリエイティブディレクター。多摩美術大学卒業後、博報堂を経て2000年〈SAMURAI〉設立。ブランドのコンセプト構築からトータルデザインまで手がける。著書に『佐藤可士和の超整理術』など。

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