May 20, 2024 | Design
デザインの潮流や新しい店の情報に敏感なスタイリストたち。彼らは最近、どんな店やモノに注目しているのだろう? 3人のプロがマイブームで選んだ、気になるアイテムを極私的にチョイス。
■ 工芸とデザインを繋ぐプロダクト。|スタイリスト 中田由美
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ものの姿形だけでなく、背景や成り立ちについても深く知ったうえでスタイリングしたい。なので、作り手やデザイナーが運営する店やセレクトに興味があるんです。最近の注目はデザインと工芸を繋ぐプロダクト。例えば京都の〈New Craft Shop〉では、3Dプリンタなどのデジタル技術で、大量生産的な素材を工芸品に昇華させています。東京〈Zelt Bookstore〉の店主は、都市における自然との暮らしを実践。その日常が反映された本のセレクトやプロダクトが魅力です。信州にある〈lagom〉のオーナーは、北欧でも活躍したデザイナー。地元作家や福祉施設などローカルな関わりを大切にしつつ、モダンで機能的なものを作る。その感覚が新鮮で、私自身のもの選びの視点も更新される気がします。
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〈New Craft Shop ニュークラフトショップ〉
2023年オープン。デジタル技術を応用した “新工芸品” を提案する〈新工芸舎〉が運営。オリジナルプロダクトのほか国内外の作家による日用品も並ぶ。●京都府亀岡市大井町並河1-14-9 TEL 090 8941 5354。12時〜18時。不定休。Instagram: @shinkogeisha
〈Zelt Bookstore ツェルト ブックストア〉
2023年オープン。店主は山形発のプロダクトレーベル〈山の形〉も手がける柴山修平と、イラストレーターの伊藤眸。現代を楽しく生きのびるツールとしての書籍と道具を扱う。●東京都足立区本木1-19-4 TEL 03 6555 3925。13時〜19時。不定休。公式サイト
〈lagom ラーゴム〉
2023年オープン。信州の作家と協業した家具や北欧の工芸品、ヴィンテージを扱う。8月に福祉×医療×デザインのプロジェクト「konst」のギャラリーも。●長野県北佐久郡御代田町馬瀬口1794-1 MMoP内 TEL 090 4642 3930。10時~17時。水曜休。公式サイト
中田由美
なかたゆみ インテリアスタイリスト。建築や舞台照明を学んだ後、神林千夏に師事。2013年独立。雑誌や広告のほか、家具ブランドの企画展やディスプレイも。■ 用途不定の幾何学デザイン。|スタイリスト 竹内優介
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最近おもしろく感じるのは、用途や価値が定まっていないものの中に自分なりの美しさを見出すこと。特に幾何学的なモチーフに惹かれることが多く、部屋にポツンと飾ったり、球体や三角錐などフォルム違いで並べたりするのが楽しいんです。オブジェとして作られた立体も素敵ですが、僕が気になるのは古道具店にある木片や玩具などの幾何学体。京都の〈bild〉では教材模型、愛知の〈plusko〉ではさまざまな砥石、西荻窪の〈poubelle〉では工場で使われていた機械の治具を発見。日常に潜むカタチの多様性に、改めて驚いています。今回はさまざまな色と質感を組み合わせましたが、白やグレーなど単色で飾るのも一興。フォルムだけがくっきりと際立ち、本当に美しい形を見極める目も養われます。
〈bild ビルド〉
日本の古道具を中心に扱う。多様な「形・質感・色」を持つものがインスタレーション的に展示されていて、飾り方の参考になる。パステルカラーなど色のきれいなものも多い。●京都府京都市左京区鹿ヶ谷西寺ノ前町112-102。13時〜19時。土曜・日曜の不定期営業。Instagram: @bild_kyoto
〈plusko プラスコ〉
国内外の古道具を扱うショップ。木製のカラーコインセットや目薬用のペーパーボックス、石を研磨しただけの球体に、触感も質感もさまざまな砥石など、ほかにはないユニークなものが見つかる。●愛知県大府市明成町3-304 TEL 090 5102 7583。12時~18時。アポイント制。Instagram: @plusko__
〈poubelle プベル〉
店名はゴミ箱を意味するフランス語。もともと建築家を志していたという目利き店主の収集品や、独自に学んだ修復技術で修繕した古物などが並んでいる。店内には写真などのアートも。●東京都杉並区西荻北3-42-5 TEL 090 1540 7133。11時~19時30分。火曜休。Instagram: @poubelle0702
竹内優介
たけうちゆうすけ 建築を学んでいた大学在学中より黒田美津子に師事。2023年に独立。デザイン誌や企業広告、展示会場のインテリアスタイリングを手がける。■ デザインのいい食と空間。|スタイリスト 飯田珠緒
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アンティークの食器やパッケージがかわいい食料品を、センスのいい空間ごと楽しめる。そんな店が気になります。〈調理室池田〉は、19~20世紀フランスの白いリム皿や小さめワイングラスなど、ちゃんと日常使いしやすいものが提案されている点が素敵。コンクリート壁の雰囲気ある建物でクラシカルな焼き菓子をイートインできるのもうれしいし、中央卸売市場内という立地もワクワクします(市場の魚で手作りするツナのメルトサンドも最高)。もう1軒は、クマタイチさんが内装やモノ選びを手がける〈SHOPPE〉。築62年の民家を改装した空間は、海外の食料雑貨店のよう。各地の調味料からユニークなソーセージクッションまで、一杯飲みに立ち寄りつつ、お土産に買いたくなるものばかりです。
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〈調理室池田〉
1階は朝食やできたての焼き菓子が人気のカフェ。2階にフランスを中心としたアンティークの器が並ぶ。●神奈川県川崎市宮前区水沢1-1-1 川崎市中央卸売市場 北部市場関連棟45。7時~13時LO(土~14時LO)。一般客の市場入場は8時から。水曜・日曜・祝日休。
〈SHOPPE ショップ〉
建築家クマタイチによるシェアプロジェクトの一環として2023年5月開店。ワインやソーセージを味わえるほか、産地の文化を伝える食材も買える。●東京都新宿区山吹町345-6 SHAREyamabukicho 1F。15時~22時(土・日・祝12時~19時)。火曜・水曜休。Instagram: @shoppe_tokyo