April 25, 2024 | Culture | casabrutus.com
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。「ロボット」という言葉を生んだ戯曲などで知られるカレル・チャペック。時代を代表する作家は、こよなく愛した園芸を通して仕事について語っています。
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労働をするなら、好きですべきだ。
SFの古典『R.U.R.』『山椒魚戦争』などで知られるチェコの作家カレル・チャペック。1920年、30歳になる年に発表した戯曲『R.U.R.』(『ロボット』)は「ロボット」という言葉を生んだ作品としても知られる。本作で世界的に有名になったチャペックだが、その数年前、つまり1918年からチェコ文学は約20年に及ぶ隆盛のときを迎えていた。18年はチェコスロヴァキアとして独立した年。当時中欧諸国のなかでも特に共産党の勢力が強かったこの国で、プロレタリア文学を中心に文学が発展していくさなかだったのだ。
園芸にまつわるエッセイのなかでも、5月1日のメーデーに寄せたこんな一節が登場する。「労働をするなら、好きですべきだ。」。主義や道徳的な動機をもとにする労働にはたいして価値がない。だからこの日は単に労働することではなく、その結果生み出された果実こそを誇り祝うべきだと。庭仕事だって労働と言えなくもないが、それが楽しいから、高尚だから、あるいは健康のためにするのではなく、ただ愛おしい草花のためでしかないという。
本書のメインはもちろん園芸だ。庭を作るには、園芸家になるには、といった総論に始まり、1月から12月までひと月ずつ園芸家である自身の暮らしぶりを綴る。例えば4月は「四月、これこそ本格的な、恵まれた園芸家の月だ」という一文を皮切りに、発芽や苗植えなどこの時期の仕事を語る。毎月のようにページをめくりたくなる一冊だ。
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