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全国で紡いだ布が、磯崎新の建築を埋め尽くす。〈水戸芸術館現代美術ギャラリー〉で須藤玲子の個展が開催。

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March 12, 2024 | Design | a wall newspaper

テキスタイルデザイナー・須藤玲子の展覧会が磯崎新設計の〈水戸芸術館現代美術ギャラリー〉で始まりました。

NUNOのテキスタイルを使ったこいのぼりが水戸芸の建築と呼応する《続・こいのぼりなう!》。

テキスタイルデザイナー、須藤玲子の大規模個展が〈水戸芸術館現代美術ギャラリー〉で始まった。本展は2019年に香港のアートセンター〈CHAT〉で企画された展示が、須藤の出身地でもある茨城県に巡回したもの。元ライゾマティクス・アーキテクチャーで現パノラマティクスを主宰する齋藤精一をアーティスティック・ディレクターに迎え、須藤がデザインしたテキスタイルが、どのような製造工程を経て生み出されるかを最新技術を用いたインスタレーションで展示する。目玉となるテキスタイルの鯉のぼりは、展示空間のデザイン等で国際的に知られるアドリアン・ガルデールが手がけた。

生産の様子を映像で再現した展示。無数の糸が伸びる。

「世界各地を回って制作した布の数は3700点に及びます。そのうち代表作のアーカイブとして444枚の布地をパッチワークしました。私たちのテキスタイルづくりは、ひとりではできなくて、糸をつくる人、染める人、織る人、仕上げる人、そして補正をして縫う人、いろんなかたちで多くの方々の手を経て仕上がっている。それがこの展覧会で一番伝えたかったことです」と須藤。展示では実際に一つひとつの布を触って感触を体感することができるパネルも並んでいる。

磯崎新へのオマージュとして制作された本展のための新作テキスタイル。〈水戸芸術館〉のシンボルタワーがモチーフ。

工場の映像作品も手がけた齋藤は、「動画を撮っていく中で、工場の織り機がうるさすぎて声が聞こえないような状況も再現したいという思いがありました。実際に職人を撮影していると、新しく知ることが多かった。魚が切り身で泳いでいると思っていた人もいるように、服がどう始まって終わっていくのか本当の意味で知られていないのではないでしょうか。すべてが見える状態になることで、自分の国でつくっているものが世界から見れば凄いものなんだと日本の人に知ってもらえるきっかけになったと思います」

広場でも《こいのぼり》が展示されている。須藤にとって初の屋外展示。土・日・祝日には両脇から水が噴射される。

須藤玲子

すどうれいこ テキスタイルデザイナー。1953年茨城県石岡市生まれ。84年以来、テキスタイルデザイン・スタジオNUNOのデザインディレクターを務める。日本各地の職人や工場とともに、伝統的な染織技術と最先端の製造技術を融合した布づくりを行う。

『須藤玲子:NUNO の布づくり』

〈水戸芸術館〉茨城県水戸市五軒町1-6-8 水戸芸術館 TEL 029 227 8111。〜2024年5月6日。10時〜18時(最終入場〜17時30分)。月曜(祝日の場合は翌火曜)休。観覧料900円。屋外展示の水の噴射は土・日・祝の13時30分、15時30分の各5分間。

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