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Channel: カーサ ブルータス Casa BRUTUS |
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“外へ”そして“上へ”と拡張していく装置としての家。

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January 18, 2017 | Architecture | 理想の最新住宅案内2017 | photo_Kai Nakamura text_Masae Wako editor_Ai Sakamoto

コンクリートブロックを積み上げて軸にした構造は、複雑に見えて実は単純。生活の変化に合わせて骨格自体をカスタマイズできる、骨太な住宅です。

House B for a Family/設計:篠崎弘之
地面から空中へ、上に向かうほどボリュームを増すユニークな形。この構造を大まかに説明すると、①コンクリートブロックを積み上げた構造体を井桁状に配し、②その上に井桁状のコンクリート梁をのせ、③必要な部分に床を架ける。④これを3層分積み上げて完成! ということになる。
コンクリートブロック使いが絶妙!
3階。ブロックの構造体に囲まれたスペースをキッチンにした。真っ白なタイル張りのカウンターは施主夫妻の提案。植物のハンギングも2人の手づくりだ。
ここに住む施主夫妻は大のインテリア好き。家を建てようと考えてから8年間、読みふけった住宅雑誌や訪ねた建築会社は数知れず。「実家は横に広い日本家屋だったから、縦にシュッと伸びる家に憧れた」「武骨な雰囲気や時間を経たものの質感が好き」「暮らし方に合わせて変えられる家がいい」。その想いを託せると確信した建築家が篠崎弘之。“豊かな驚き”を感じる作風に惹かれたという。
1階の玄関ドアを開けた先に広がるウェルカムスペース。お茶を飲んでくつろいだりバーベキューをしたりと自由に楽しんでいる。
3階リビングの脇にある1畳分ほどの書斎。
ほの暗さが心地いい2階廊下。右手が寝室。
「住宅街という環境を考え、視界が開ける3階の体積を大きくしました。すべてを支えているのは垂直に積んだコンクリートブロック。井桁に組んだのは、拡張性が高いからです。中心でしっかり支えていれば、周囲8方向へ広げられる。骨格自体をカスタマイズできるんです」と篠崎。床を足して外側へ延ばすことも、井桁の真ん中の床を外して吹き抜けにすることも、さらにブロックを積んで4階をつくることだってできる。

「どんなハコでも自由に住みこなせる施主だから、この形にたどり着きました。家の形や規模さえも、その時々の生活スタイルや趣向に合わせてカスタマイズできる。この家は、住み手の楽しみを実現するための装置です」
1階から3階までをつなぐ螺旋階段。踊り場部分は3.2mm厚の鉄板。木とブロックと金属、3つの異なる素材が交わる場所だ。
2階から階段を上がっていくと、突然明るく開けた3階が現れる。そのギャップも楽しい。家を支えるのは、井桁の交点に配置されたブロックの柱。3階の柱は細いが、階下になるほど太く面積が増えて耐力が増す。床はナラ材。場所によって仕上げ色を変えてある。
上階のボリュームをぐっと大きくした3階建て。コンクリートブロックを積んだ柱の上に梁をのせ、床を架けた構造だ。外壁の一部は杉板の下見張り。ブロックは施主の好みを反映して、古びた風合いに仕上げた。

House B for a Family

●所在地/新潟県新潟市●家族構成/夫婦+子供1人●構造/鉄筋コンクリート組積造●規模/地上3階●設計期間/2013年6月〜2015年2月●施工期間/2015年3月〜12月●敷地面積/153.42㎡●建築面積/59.15㎡●延床面積/114.12㎡

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