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ディノ・ガヴィーナの革命的デザインを紐解く。千葉県野田市〈バンドル ギャラリー〉で展覧会が開催中。

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January 13, 2024 | Design | a wall newspaper

イタリアモダンデザインを牽引した人物、ディノ・ガヴィーナ。その展覧会が〈バンドル ギャラリー〉で開催中です。

1 1957年にミラノトリエンナーレ日本館建設のためにイタリアに滞在していた高濱和秀と出会い、ガヴィーナは彼を家具の世界に誘う。こちらは高濱がデザインした照明《サオリ》。2 同じく高濱がデザインした《ナエコ》。3 カスティリオーニ兄弟がデザインしたフロスの名作照明《アルコ》。4 同じく《タッチア》。

アキッレ・カスティリオーニ、ピエル・ジャコモ・カスティリオーニ、カルロ・スカルパ、マルセル・ブロイヤー、高濱和秀、さらにマン・レイらのアーティストらが手がけた家具群の背景にディノ・ガヴィーナという人物がいたことは、日本であまり知られていない。このガヴィーナに着目した展覧会『ディノ・ガヴィーナ 破壊と創造のデザイン史』が、スタイリスト・川合将人が主宰する千葉県野田市の〈バンドル ギャラリー〉で開催中だ。

壁に掛かる写真は1969年にマン・レイが撮影したガヴィーナの姿。ガヴィーナはいち早くアーティストと交流を深め、デザインとアートの融合にも力を入れた。

1960年に家具メーカー〈ガヴィーナ〉を設立したガヴィーナは、ブロイヤーがバウハウス時代に手がけた《ワシリーチェア》などを初めて工業的に製品化。またル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ペリアンがデザインした家具の製造も依頼されるが、その生産は《カッシーナ〉に紹介した。同社を創設したチェーザレ・カッシーナとは照明メーカー〈フロス〉を設立。このように彼が開発に携わった家具照明は現在、〈カッシーナ〉〈フロス〉〈ノル〉〈ネモ〉〈サンタ&コール〉などで製造販売が続く。

目のオブジェはマン・レイによる《ル・テモアン》。照明はトビア・スカルパの《ファンタズマ・ピッコロ》。左の椅子はガヴィーナ社製の《ワシリーチェア》。

間違いなくイタリアのモダンデザイン界を牽引した存在であるガヴィーナについて、川合は「情熱的で、凄まじい直感力を持った人物」だと表現する。川合はデザインに興味を持つ中で強く惹かれたガヴィーナを追いかけ続け本展開催にこぎ着けたといい、会場では資料やインタビュー映像も展示する。マン・レイやマルセル・デュシャンなどの芸術家とも交流を持ち、コラボレーションに取り組んだガヴィーナの足跡は辿るほどにおもしろい。デザインの裏側にいた不世出の奇才の足跡をぜひ確かめてほしい。

photo_Sohei Oya(Nacasa&Partners)

『ディノ・ガヴィーナ 破壊と想像のデザイン史』

〈バンドル ギャラリー〉千葉県野田市野田57。〜2024年1月21日。11時~18時。公式サイトにて完全予約制。1日3組限定、時間は3部制。

川合将人

かわいまさと インテリアショップ勤務を経てスタイリストとして独立。多方面で活躍するなか、2022年〈バンドルスタジオ〉の運営を始める。

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