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【今週の花と器】サザンカと〈オレフォス〉の《ミング ピッチャー》|1月

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January 8, 2024 | Design | casabrutus.com

1月2週目の担当は、祐天寺にある花屋〈チビ〉を営む芳賀規良さん。正月休みが過ぎ、新しい年がスタートする時期にガラスのピッチャーにサザンカを活けます。器のディティールや、清々しいガラスの存在感をぼんやりとさせず、一輪挿しでキリッと潔いバランスを心がけます。注ぎ口や取手との配置関係を見定めるコツも教えてもらいました。

サザンカは、花が減る冬に咲く花です。よく似たツバキと同じく、庭木として親しまれてきた日本の固有種。これらを見分けるポイントは、葉が小ぶりで、花びらが一枚ずつ散るのがサザンカ。葉が大ぶりで、ぽとっと花が丸ごと落ちるのがツバキです。どちらも似た性質を持っていて、満開に花が咲くのは長くて2日。儚さを感じます。

今回の器は、注ぎ口や取手、アシンメトリーなシルエットに十分な見応えがある。そこに花を足すならば、一輪挿しでさりげなく活けるのがいいと思いました。ただし、注ぎ口や取手と花の配置関係によって「さりげなさ」は変わる。注ぎ口に枝を差し込むのは絶対にナシではないけれど、どうしても、わざとらしくなる。感覚でサッとでいいのですが、強いて言うならば、注ぎ口や取手といったディティールと干渉しない位置がしっくりきました。

また、繊細な茎の表情を見せられるのは、透明の器ならでは。花や、艶やかな葉だけを見るのではなく、華奢な枝も味わう。窓辺など、光が届く場所に置いてガラスの透明度や水面が映すものを楽しむ。透明な器は、何かを盛り込むのではなく、足さないことで花の力を引き出す、というのがよいと思います。

●今週の花: サザンカ

ツバキ科ツバキ属の一種であるサザンカ。深いグリーンで光沢感のある葉も魅力。野生の自生種はところどころに桃色が交わる白だが、園芸品種としてピンクや紅色などさまざまにバリエーションが広がった。

●今週の器:〈オレフォス〉の《ミング ピッチャー》

20世紀のスウェーデンデザインを代表するガラス作家、ヴィッケ・リンドストランド。注ぎ口やハンドルに至るまで、得意とする曲線美が発揮された水差しは、アイスティーやサングリアを入れて食卓を彩るだけではなく、花やグリーンを飾る花瓶としても使える。〈オレフォス〉の《ミング ピッチャー》φ22×H14.5cm 55,000円(コッテ & コー TEL 03 6427 6120)

芳賀規良|はがのりよし

フローリスト。駒沢通り沿いにある祐天寺の花屋〈chibi〉のオーナー。ショップやアパレルの展示会、個人宅への生け込みも行う。生産者や植栽屋との独自のコネクションにより、巨木やめずらしい枝ものも取り揃える。

〈chibi|チビ〉

東京都目黒区中目黒5-1-18 TEL 03 5722 0528。 12時〜19時。日曜休。

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