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【編集後記】最新号『新しい北欧家具』より。世界最遅の『3daysofdesign2023』リポート。

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December 12, 2023 | Design | casabrutus.com

【編集後記】では特集のこぼれ話や編集部視点の番外編をお届け。『カーサ ブルータス』2024年1月号『新しい北欧家具』特集で何度かトピックとして登場するデザインイベント『3daysofdesign (3DD)』とは、どんな催しなのか、およそ半年前の記憶を思い出しながら、世界最遅で(編集部調べ)今年の展示を振り返ります。

こちらは日本でもすっかりお馴染みになったインテリアレーベル〈フラマ〉のショールームで行われたDJパーティーの様子。住宅街にも関わらずみんな路上に出て西陽を浴びながら思い思いに身体を揺らしていました。気持ちよかったな〜。

『3DD』はデンマークの首都、コペンハーゲン市内を舞台に、その名の通り、3日間に渡ってインテリアブランドが展示を行うデザインイベント。類似のイベントとしてイタリア・ミラノを舞台にした『ミラノサローネ』が家具の見本市として広く認知されていますが、ここ数年は、『3DD』の勢いも台頭。北欧各国のインテリアブランドはもちろん、日本の〈カリモク家具〉やイタリアの〈Vero〉など、世界中から才能が集まり、注目を集めています。今年は6月の7日から9日にかけての3日間で開催。ってもう半年前ですね。iPhoneの写真を見ながら記憶の照合作業をしてみます。

レンタサイクルアプリ〈Donkey Republic〉の画面より。感覚的には、表参道から外苑前まで歩く間に20個くらいレンタルスポットがある感じ。数時間〜数日間単位でレンタル可能で、レンタル期間が伸びると割安になる仕組み。スポットであればどこでも乗り捨てOK。

筆者にとっては初めての『3DD』。というか、初めてのコペンハーゲン。業界の先輩たちが口を揃える「街のコンパクトさ」を探るべく、レンタサイクルアプリの「Donkey Republic」を使って、自転車で市内を回ることに。なお、コペンハーゲンは世界屈指のサイクリストフレンドリーな街。専用レーンがしっかり整備されており、右左折の際はしっかりサインを送って、シャカシャカ飛ばします。特に朝の通勤ラッシュ時は、慣れるまではレーンに合流するのが少し怖かった…

『3DD』公式アプリのトップ画面より。

さて、どんなルートで街を回ろうかな、と思ったら、『3DD』からリリースされている専用アプリを開いてみます。

展示情報のマッピングはもちろん、トークイベントやカクテルパーティーなんかも時間単位で表示されており、3日間という短い期間中に「うっかり」ホットスポットをスルーしてしまわないための工夫が随所に。

さて、足も地図も確保できたらいざ展示を回ってみましょう。世界一のベーカリーシティと言われるコペンハーゲン、途中美味しいペストリー休憩も忘れずにね。

〈ルイスポールセン〉のブースではアーティストデュオのホーム・イン・ヘヴンが数々の名作照明をアレンジしたプロダクトを展示。(→関連記事〈ルイスポールセン〉の名作がユニークピースに。アーティストデュオ〈ホームインヘヴン〉にインタビュー。
〈カール・ハンセン&サン〉のショールームではヴィルヘルム・ラウリッツェンの復刻発表のほか、木工アーティスト、ニコラス・シュリ―による彫刻作品を展示。(→関連記事1944年にわずか10脚のみが製作された希少な椅子が製品化。
〈カール・ハンセン&サン〉ショールームのすぐ隣には〈モンタナ〉のショールームがありました。なお、基本的に『3DD』は『ミラノサローネ』のようにメイン会場に各ブランドが集結してパビリオンを建てるような展示スタイルでなく、市内に点在するショールームが会場となります。
こちらは市内中心部「王の庭」向かいの〈アンド・トラディション〉のショールームにて。大きな邸宅の中が丸ごと会場になっていて、フロアを行ったり来たりしながら部屋ごとにスタイリングを楽しめました。ヴァーナー・パントンのペンダントライトが並ぶ姿は壮観。
こちらは〈ヘイ〉の巨大ショールーム〈ヘイハウス〉にて。窓からは「コウノトリの泉」を臨む観光地のど真ん中。あらためて、このブランドの存在の大きさをコペンハーゲンで感じました。
本誌でも編集長のインタビューを掲載したデザインマガジン『アークジャーナル』も出展。メキシコの作家とコラボした照明の展示では、メスカルや現地のビーントゥバーをサーブしていました。(→https://www.ark-journal.com/
こちらは本誌でも取材した花屋兼ギャラリーの〈タブロー〉。花屋だから町の人が気軽に立ち寄れて、中では先鋭的なデザインの展示が行われている、というユニークなカルチャースポット。いいアイデア!
コペンハーゲンといえば?のヒッピー地区、クリスチャニア方面にも移動。本誌でも紹介した新興デザインコレクティブ〈ニコ・ジューン〉がオープンスタジオをしていました。日本でも〈シボネ〉がいち早く取り扱いを始めた《エロストルソー》を使ったインスタレーションがお出迎え。(→https://nikojune.com/en-jp
いくつか川を渡って北上すると〈A.ピーターセン〉に到着。
途中〈Lille Bakery〉脇の木陰でペストリー休憩を挟みつつ(6月のコペンハーゲンは本当に日が長いので、休憩が大切です)、さらに北に。〈コペンハーゲン・コンテンポラリー〉というミュージアム周辺では、若手プロダクトデザイナーの登竜門的展示『UKURANT』が開催。著名デザイナーの出展ではないけれど、来場者の目は熱心そのもの。市内のショールームを会場とした新作発表とはまた違うオルタナティブに触れます。(→https://www.ukurant.com/
今度は函館の五稜郭のような形状のカスケレット要塞近くへ。キルギス出身のアーティスト、マイケル・アナスタシアデスがコペンハーゲンの老舗ヴィンテージギャラリー〈ダンスク・ムーベル・クンスト〉と取り組んだ展示は、多くの関係者がベストインスタレーションと口を揃えるクオリティ。

6月のコペンハーゲンは、日が長く、晴天が続くため世界中から観光客が訪れる超ハイシーズン。公園ではワイン片手にリラックスした人々が横になり、湾岸エリアでは思い思いに海にダイブする若者の姿。『3DD』が世界中から人を惹きつける理由は、この時期の街そのものが持つ魅力も大きいんじゃないかなあと思った充実の三日間でした。

その後、『3DD』の熱狂冷めやらぬまま、本誌の取材でコペンハーゲン、ヘルシンキ、ストックホルムへと旅は続きました。日が長いものだから、19時くらいからインテリア撮影を開始した人も……。バイオリズム狂いまくりの取材旅。その成果はぜひ本誌でご覧ください。

長い日差しを目一杯享受する人々の姿がとにかく印象的でした。

特集担当編集:井手裕介


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