November 29, 2016 | Architecture | casabrutus.com | photo_ Hilton & Highland
text_ Mika Yoshida & David G. Imber
editor_ Yuka Uchida
レディ・ガガがLAに新たな邸宅を購入。その家の前の住人はなんとフランク・ザッパだそう。天才ミュージシャンから世界のポップスターへ、引き継がれた豪邸はこんな空間です。
ガガが購入したフランク・ザッパ邸。ダイニングにはドラゴンの壁画が。
ベッドルーム7室、バスルーム6室、ゲストルームならぬゲストアパートメントにゲストハウス2棟まで! かのレディ・ガガが買ったこの屋敷は、驚くほどゴージャス。しかし、単なるセレブ豪邸じゃないんです。ここに長年暮らしたのが、かのフランク・ザッパと聞けば思わず写真を二度見してしまうのでは……!?
ザッパがこの家を買ったのは1968年のこと。当時の価格は75,000ドル。亡くなるまでの25年間、ここで子供4人を育て上げ、音楽を作り続けた。
ザッパは言わずと知れた、20世紀を代表する天才ミュージシャン。前衛とポピュラー文化の融合をなし遂げた、他の追随を許さない鬼才です。敬意を込めて呼ばれるその愛称は「帝王」。言論の自由や政治・社会改革を目指した運動など、音楽を超えた活動に情熱的に取り組んだことでも知られています。
上/LAの豊かな光が創造力を育んでくれる。下/ファンや研究家にはたまらない、ザッパ邸スタジオ。ここから60枚ものアルバムが生み出された。
1993年に他界したのちもなお、日本をはじめ世界中に根強いファンが多数存在するザッパ。日々、ザッパ研究家たちが各地で研鑽を積んでいます。LAにたたずむこのザッパ邸は、録音スタジオはもちろん、なんとアートギャラリーまで備えたまさにザッパの城。その家を買うとはガガもお目が高い!
さすがザッパ! 家の中にこんなアートギャラリーまで作っていたとは。
イタリア・NY在住30年以上の建築家にして、大のザッパフリークとしても知られている大西次郎さんはこう語ります。
「ロサンジェルスのローレル・キャニオンにある、有名なフランク・ザッパ邸。ザッパはこの家に1968年から1993年に没するまで暮らしています。その間、増改築を繰り返し立派なスタジオも設けて、数々のアルバムをここから生み出しました。
およそ612坪の敷地に、居心地が良さそうな部屋がいくつも。仕事の鬼でありながら、家族との生活を大切にする家庭人だったのが伝わってくる。
去年、ザッパの未亡人ゲイルが他界。子供たちの間で遺産争いが始まって、不動産の売却や動産のオークションと進んでちょっと物々しくなっていました。が、ザッパ邸の売却話は家族の意向で進み、売り出されてから半年でレディ・ガガが購入、一件落着となりました。
ザッパ・ファミリーの将来が心配されていますが、ガガのニュースは、何か良い方向に動き始めそうな予感を抱かせる吉報のように思えます。ザッパもガガもイタリア系アメリカ人。何か縁があったのでしょうか。旧ザッパ邸から新たな音楽が生まれるとは、まるで夢のようです。この家から、ガガの新しいアルバムが生まれることに期待したいですね」
屋外にはプールも。仕事場としても、休息の場としてもパーフェクトな邸宅。ガガ様、さすがお買い物上手です。
大西次郎 おおにし・じろう 金沢出身、NY在住。ピーター・マリノ建築事務所勤務。フェンディのローマ旗艦店やマンハッタン旗艦店、ルイ・ヴィトンの上海本店(Plaza 66内)などを担当。無類の音楽通としても知られ、なかでもフランク・ザッパに関しては筋金入りのマニア。