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【本と名言365】ヘンリー・デイヴィッド・ソロー|「余分な富をもてば…」

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November 5, 2023 | Culture | casabrutus.com

これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。トルストイやガンジー、キング牧師も愛読したヘンリー・デイヴィッド・ソローの自伝『森の生活─ウォールデン』。彼の言葉は時を超えて、現代を生きる私たちに「本当の豊かさ」を問います。

ヘンリー・デイヴィッド・ソロー/作家、思想家、博物学者

余分な富をもてば、余分なものが手にはいるだけである。

マサチューセッツ州ウォールデン湖畔の森の中に自身で丸太小屋を立て、自給自足の生活を送った詩人・哲学者のヘンリー・デイヴィッド・ソロー。約2年間続いた日々の記録は『森の生活』と題した本になり、その思想はのちの詩人や活動家に多大な影響を与えた。

そこには自然の中で過ごすことで得た独自の哲学が綴られている。資本主義の消費文化に対抗し、物質的な富や豪華な生活様式を否定。その代わりに本当に必要なものだけに焦点を当て、所有物を最低限に抑えることで、精神的な豊かさを追求できると説いた。この世の中はあまりにものに溢れ、そして不要な品物を売りつける。そのためにしなくていい余計な労働を強いられ、自分の時間を奪われてしまう。そうして得た富を何かものに変えたとしても、結局はそれらを維持するために新たな労働を強いられ、生活が圧迫されるのだ、と。「ものを沢山持てば持つほど、それだけ貧乏になる」「余分な富をもてば、余分なものが手にはいるだけである」とソローは言う。

自然界との調和と追求し、物資的な財を成すことよりも精神的な豊かさを重視したソロー。「あなたの人生をシンプルにすると、宇宙の法則がよりシンプルになります。孤独は孤独ではなくなり、貧乏は貧乏ではなくなります。そして弱さが弱さではなくなるのです」。簡素な生活を美徳として讃え、自然との共生を促す。彼の思想は、持続可能な生活を模索する現代人にとって、自分の人生を生きるヒントを与えてくれる。

必要なもの以外を捨ててシンプルに、自然と一体となって暮らした2年2ヶ月の生活を詳細に記す。重要な文学的古典として世界的に読み継がれている。『森の生活 』上/下巻 岩波文庫 660円

ヘンリー・デイヴィッド・ソロー

1817年アメリカ生まれ。作家、思想家、博物学者。ハーバード大学を卒業するも、生涯を通じて定職にはつかず、29歳でウォールデン湖ほとりの森で自給自足の生活を送る。『森の生活』は世界中で翻訳され、ベストセラーに。1862年没。

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