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【今週の花と器】ソラナム(パンプキン)と〈コルシ デザイン〉の《ヌガーベース》|10月

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October 23, 2023 | Design | casabrutus.com

10月4週目の担当はギャラリーを併設した外苑前の花屋〈ボイス〉のオーナー香内斉さん。10月の終わりにやってくるイベントとして定着したハロウィン。その時期が来るとカボチャは魔除けのために飾られます。今回の花材は見た目がカボチャにそっくりでありながら、観賞用のナスだというソラナム。樹脂製で柔らかく、生き物のような風貌の器に活けました。実の色が変化していく様子に季節の移り変わりを体感してみませんか。

爬虫類のようなユニークな色合わせと樹脂の材質を見て、ハロウィンのイメージにピッタリだと思いました。ハロウィンに関係する植物といえばカボチャですよね。ソラナムはカボチャによく似ていますが、意外にも観賞用のナス。旬の花を部屋に飾ろうと思うとき、天気や気候と結びつく風情や、日本に古くからある文化との関わりを考えていくのが〈ボイス〉らしいと感じつつ、現代のイベントをまっすぐに楽しんでみるのもいいなあ、と最近は思っています。

今回の花器は樹脂で作られていて、柔らかいもの。ソラナムは枝に実が複数ついていて重みがあるので、数本の重さが1点に偏ると、ぐにゃっとバランスを崩してしまうんです。なので、全体にまんべんなく、放射状に活けました。器の赤いつぶつぶと大きさがリンクしていったのも面白かったですね。それと、秋は街の木々が紅葉して「色の変化」がある季節。ソラナムは、黄色からだんだんと濃いオレンジへと熟していきますが、その姿にも秋らしさを感じます。

クセの強い器でしたが、ユニークな花との相性はとても良くて、この組み合わせでしか表現できないインパクトがあります。口が広がっていてボリュームがあったり、デザインに主張がある器を使う場合は、本数を多くしてボリュームでバランスを取るのが一般的なセオリーなんですね。でも、ソラナムのようにそれ自体に特徴がはっきりあると、個性がぶつかりあって成立させられる。花をたくさん入れて空間を埋めなくても、しっくりくるアレンジになったと思います。

●今週の花:ソラナム(パンプキン)

直径3〜5cmの実に、カボチャの形状を連想させるくびれがある。熟すにつれて緑色が黄みがかってオレンジ色になる。

●今週の器:〈コルシ デザイン〉の《ヌガーベース》

ガエターノ・ペッシェがデザインしたこのシリーズは海底に棲む生物の形状や色合いがモチーフ。環境に配慮したポリウレタン樹脂を使い、イタリアの職人がすべてハンドメイドで製作している。花材を入れていない状態でもアートピースのような強さがあり、空間にエッジの効いたアクセントを加える。感触はゴムのように柔らかく、割れる心配はない。〈コルシ デザイン〉の《ヌガーベース フィッシュデザイン バイ ガエタノ・ペッシェ》左 《M》約φ17×H28cm 71,500円、左《S》約φ11×H18cm 33,000円(Blumo TEL 092 531 3080)

香内 斉|こうない ひとし

フローリスト。外苑前にあるギャラリー併設のフラワーショップ〈VOICE〉を2017年にオープン。家具や陶芸、絵画や写真などさまざまなジャンルの展示を行う。また、生産者と直接関わりながら、彼らの”声”とともに花を届ける。生け込みやウェディング、インテリアの展示空間に花をスタイリングするなど多岐に渡って活動している。

〈VOICE|ボイス〉

東京都渋谷区神宮前3-7-11 JINGUMAE HOUSE 1F。*最新の開店スケジュールや開催中の展示はインスタグラム@voice_flower.jpでチェック。

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