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【今週の花と器】フウセントウワタと〈ニコ ジューン〉の《エロス トルソー》|9月

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September 18, 2023 | Design | casabrutus.com

9月3週目の担当は、ショップを持たないアトリエスタイルの花屋〈フィオーレ・ソフィッタ〉で活動する三嶋春菜さん。エアリーで可愛げのあるフウセントウワタを、プラスティックの不定形な器に生けました。風船のようなフォルムが季節の変わり目に軽やかなムードを与え、水と光が生み出す器のプリズムは、アートピースのような存在感を放ちます。

中が空洞でふわふわとしたものって、なんだか夢がありませんか? フウセントウワタは名前の通り、風船のような形をした不思議な植物です。暑い日はあるけれど、いよいよ夏の終わりという9月の中旬。季節が移り変わっていくときならではの寂しさが漂う時期に、ちょっぴりへんてこでユーモアのある植物が部屋にあると、気分を軽くしてくれるような気がします。

フウセントウワタは、くすみのない明るい黄緑色がいい。果実のフォルムに個性はあるけれど密集させても重たくなりません。この器も、そんな性質にちょっと似ています。水を入れると透明な塊となってインパクトがありつつも、ガラスではなく、プラスチックだから抜け感がある。どっしりとしたものより、エアリーなものが似合うと思いました。あわせて活けたフラッフィーは秋らしさの要素ですね。細かい線を加えると、アレンジに風が入る。それぞれ、形は全然違うけれどエアリーなもの同士です。

今回、フウセントウワタは長めに活けたのですが、曲面が生み出す器のくぼみに茎をひっかけやすくて、短いお花でも活けやすいと思いますよ。どっしりとしておらずアシンメトリーなバランスなのもよくて、無造作に1輪だけを入れても成り立ってくれる。個性はあるけれど意外にもお花を選ばなくて、どうやってもアートピースのように仕上がる花器だなあと思いました。

●今週の花:フウセントウワタ

フウセントウワタはなんといっても袋状の果実がユニーク。表面に緑色のトゲのようなものがついているが、突起物は固くなく柔らかい。果実は熟すと風船がはじて、綿毛のついた種子が出てくる。

●今週の器:〈ニコ ジューン〉の《エロス トルソー》

デンマークのコペンハーゲンに拠点を置くクリエイティブスタジオ〈ニコ ジューン〉。このシリーズはプラスティック容器を再利用し、個別に加熱をして形づくったもの。水を入れた器に日が差すと曲がりくねった器に無数の光の筋ができて豊かな表情を生む。〈ニコ ジューン〉の《エロス トルソー》右 S 約W21×D21.5×H23cm 22,000円、左 M 約W22×D23×H30cm 24,200円(シボネ TEL 03 6712 5301)

三嶋春菜|みしま はるな

ショップを持たないアトリエスタイルの花屋〈fiore soffitta〉でフローリストを務める。ウェディングやパーティ、ショップの装花をはじめ、ギフトや日常に寄り添うお花のオーダーをオンラインで受け付けている。

〈fiore soffitta|フィオーレ・ソフィッタ〉

店舗はなく、オーダーについては公式サイトをチェック。インスタグラム @fiore_soffitta 

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