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〈旧岩崎邸庭園〉で、舘鼻則孝のディレクションによる江戸の技と現代アートが出合う。

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March 29, 2022 | Architecture, Art, Design | casabrutus.com

重要文化財〈旧岩崎邸庭園〉で舘鼻則孝と東京の伝統の技がコラボレーション! 工芸とアートの粋がオンラインで楽しめます。

洋館1階の大階段に飾られた和太鼓は「宮本卯之助商店」とのコラボレーション。雷神が背負う雷鼓がモチーフ。 photo_GION

2016年から始まった「江戸東京きらりプロジェクト」は”Old Meets New"、新旧の出合いをコンセプトに、伝統の匠の技を活かした工芸品や食にスポットをあてる取り組みだ。2021年、《ヒールレスシューズ》で知られる舘鼻則孝を展覧会ディレクターに迎えて『江戸東京リシンク展』が開かれた。これは「Rethink」を冠にした展示を行ってきた舘鼻が「江戸東京きらりプロジェクト」に選定された伝統の技とコラボレーションし、作品として結実させるというものだ。コロナ禍のため2回目となる今回も、昨年同様、オンライン展示での開催となった。

会場の〈旧岩崎邸庭園〉洋館の外観。設計者のジョサイア・コンドルは日本で辰野金吾や片山東熊らを育てた、日本近代建築の父と言える存在だ。 photo_GION

今回のオンライン展示の撮影場所は都内の中心部とは思えないゆったりとした庭のある〈旧岩崎邸庭園〉だ。岩崎彌太郎の長男で三菱第三代社長となった久彌の本邸で、迎賓館として使われた洋館と私邸だった和館が接続しているという少し変わった建物になっている。別棟として、当時、紳士のたしなみとされたビリヤードを楽しむ撞球室がある。洋館と撞球室は、明治時代、イギリスから招聘されたジョサイア・コンドルの設計によるもの。英国ジャコビアン様式を基調にした洋館と、スイスの山小屋ふうの撞球室との対比も面白い。

色の違う金属板を重ね合わせて木目のような模様をつくる「木目金(もくめがね)」の技術によるファスナートップを使った《ヒールレスシューズ》。これを作った「杢目金屋」はかつては刀の鍔などを、現在ではエンゲージリングなどを製作している。 photo_GION

オンライン展示ではこの洋館と和館、撞球室に作品が並ぶ様子を舘鼻の解説とともに楽しめる。今回のコラボレーション相手は8つの事業者。乾くと玉虫色に発色する紅「小町紅」を作っている「伊勢半本店」、浮世絵の伝統を守る江戸木版画「高橋工房」、江戸切子の「華硝」、江戸木目込人形「松崎人形」などとのコラボレーションが《ヒールレスシューズ》や太鼓などの作品となった。

〈旧岩崎邸庭園〉洋館の壁紙の模様を引用した《ヒールレスシューズ》。ヨーロッパでは革で作られていたものを和紙で作った「金唐紙」によるもの。「金唐紙研究所」の特別協力による。 photo_GION

昨年、今年と2回の「江戸東京リシンク展」を開催した舘鼻は言う。

「伝統というと地方のイメージがあると思いますが、東京にも歴史ある匠の技が息づいていることに改めて気づきました」

江戸時代の花魁のファッションを参照することでも知られる舘鼻。江戸時代からの技を守る事業者の職人たち。東京の地に受け継がれた技を通じて、お互いが伝統の新しい顔を見つけている。

洋館1階のサンルームには江戸切子の「華硝」とのコラボレーション作品が展示されている。 photo_GION

作品の展示はオンラインのみだが〈旧岩崎邸庭園〉はいつもどおり入場が可能、建物と庭を見学できる。オンライン展示されている作品の中には洋館の壁紙を引用したものもある。工芸とアートと建築のコラボレーションも楽しめる企画だ。

洋館のエントランス。洋館には英国ジャコビアン様式のほか、イギリス・ルネサンス様式やイスラム風のモチーフも取り入れられている。 photo_GION
洋館1階、ホールの柱。ここにも見事な装飾が施されている。 photo_GION

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