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【速報】4代目建築家は田根剛。〈帝国ホテル 東京 新本館〉は2036年完成予定。

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October 28, 2021 | Architecture, Design, Travel | casabrutus.com

130年以上にわたり、同じ場所・同じ名称でホテル業を営んできた〈帝国ホテル〉。1890年に渋沢栄一を初代会長として開業したホテルだ。この帝国ホテルが建て替え計画を発表、田根剛がデザイン・アーキテクトとなることが決まった。

《田根剛氏による帝国ホテル 東京 新本館イメージパース》 ※検討段階のものであり今後行政協議等により変更となる可能性がある。 Image: Atelier Tsuyoshi Tane Architects

今回発表された〈帝国ホテル〉の新しい建物は4代目になる。建築家の選定にあたっては「品格・継承・挑戦」という3つのキーワードのもと、約500社をリサーチし、国内外の約10社をコンペに招待。その中から田根剛率いるATTA - Atelier Tsuyoshi Tane Architectsが選ばれた。

田根は「Archeological Future」、「未来の記憶」をテーマに考古学的に土地の記憶を探り、それを形にしていくという手法で評価されている。出世作の〈エストニア国立博物館〉では、旧ソ連の軍用飛行場の滑走路を延長したかのような建築で負の遺産を活かした。〈新国立競技場・古墳スタジアム〉は惜しくも選にもれたため実現していないが、古墳のようなこんもりとした丘の中に競技場を作るという画期的なアイデアで注目を集めた。

田根剛。2018年、〈東京オペラシティアートギャラリー〉での『田根剛|未来の記憶 Archaeology of the Future』会場内「記憶の発掘」と名付けられた展示室にて。 photo_Satoshi Nagare

新しい〈帝国ホテル〉は日比谷通りに沿って継承されてきた高さ31メートルの軒線に揃えた基壇部と、そこからセットバックした階段状の塔からなる。基壇部は賓客を迎える「宮殿」の構えであり、高く上る塔は人類の進歩の象徴だ。フランク・ロイド・ライトが設計し、「東洋の宝石」とうたわれた2代目の記憶を継承し、ライトが印象的に使用した石材を使うことも念頭に置いている。

2016年に完成した〈エストニア国立博物館〉。ドレル・ゴッドメ・田根名義で〈エストニア国立博物館〉の国際設計競技に勝利した当時、田根はまだ20代の若さということで一躍脚光を浴びた。 © Propapanda / image courtesy of DGT.

記者会見の席上で田根は「明治村に保存されている〈ライト館〉を見たときは『奇跡のような建築だ』と思いました。〈日生劇場〉など、都市の中で佇み続ける重厚な建物が作り出す日比谷の環境も意識しています」と述べた。

新館は各国の賓客を迎え入れてきた〈帝国ホテル〉が100年後も200年後も迎賓館として人々を迎え、文化発信を行うための建物になる。建て替えは2031〜2036年度に行われる予定。これからもさまざまな検討が重ねられるであろう新生〈帝国ホテル〉が今から待ち遠しい。

田根 剛

たね つよし 建築家。1979年東京生まれ。Atelier Tsuyoshi Tane Architectsを設立、フランス・パリを拠点に活動。場所の記憶から建築を つくる「Archaeology of the Future」をコンセプトに、現在ヨー ロッパと日本を中心に世界各地で多数のプロジェクトが進行中。主な作品に『エストニア国立博物館』『新国立競技場・古墳スタジアム(案)』『弘前れんが倉庫美術館』『アル・サーニ・コレクション財団美術館(2021年秋完成予定)』など。フランス文化庁新進建築家賞、ミース・ファン・デル・ローエ欧州賞 2017 ノミ ネート、フランス国外建築賞 2021 グランプリ、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞など多数受賞 。著書に『TSUYOSHI TANE - Archaeology of the Future』(TOTO 出版)など。 photo_Yoshiaki Tsutsui

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