February 19, 2020 | Art, Architecture, Culture | casabrutus.com
群馬県太田市の螺旋構造を持つ建築物〈曹源寺さざえ堂〉と〈太田市美術館・図書館〉。その摩訶不思議な螺旋の面白さを現代アートで表現する『2020年のさざえ堂——現代の螺旋と100枚の絵』が〈太田市美術館・図書館〉にて開催中だ。
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群馬県太田市にある〈曹源寺さざえ堂〉。同じところを通らずひと巡りできるさざえのような螺旋状の堂内を進むだけで、百体観音像の巡礼ができる構造になっている。そのさざえ堂に似た螺旋構造を持つ建物が、同じく太田市にある。建築家・平田晃久の設計によって2017年に開館した〈太田市美術館・図書館〉だ。
『2020年のさざえ堂——現代の螺旋と100枚の絵』は、〈曹源寺さざえ堂〉が国の重要文化財に指定されたことを機に、現代のさざえ堂とも解釈できる〈太田市美術館・図書館〉で2月6日からはじまった。「さざえ堂」「螺旋」をテーマに三瀬夏之介、蓮沼執太、持田敦子がそれぞれ異なる表現手法を用い、作品を展示している。
日本画家・三瀬夏之介は、新作と旧作を織り交ぜ、天井高約6メートルの展示室に作品で螺旋を表現。同展示室には画家・高橋大輔の絵画も展示され、モノクロームな三瀬の日本画と、色彩豊かな高橋の油彩画のコントラストが面白いコラボレーションとなっている。
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音楽家・蓮沼執太は、マイクをゴロゴロと転がしながら録音した音を素材に『Walking Score』シリーズを制作してきているが、本展ではその最新作として太田市美術館・図書館とさざえ堂の螺旋をマイクとともに散歩しながら採集した音と映像を重ねて展示している。
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住宅の一部を円卓のように回転させる『T家の転回』で見る者の度肝を抜いたアーティスト・持田敦子は、本展でも展示室を回転させてしまう。その壁には高橋大輔の作品が展示されているが、壁の回転によって見え方が変化するインスタレーションは、持田ならではと言えるだろう。
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高橋大輔は、三瀬、持田とのコラボレーションも含め計100点の絵画を展示。これは〈曹源寺さざえ堂〉の「百体観音像」に倣ったテーマとなっている。近年制作された未発表作品が多く出展される。
200年以上前に造られた〈曹源寺さざえ堂〉へのリスペクトが窺える螺旋構造の〈太田市美術館・図書館〉。そこで様々に渦巻く現代アート作品を楽しんでいただきたい。