November 6, 2019 | Art, Architecture | casabrutus.com
建て替えのため休館していた〈ブリヂストン美術館〉が〈アーティゾン美術館〉となって生まれ変わります! 来年1月にオープンする新築の美術館建築とオープニングの展覧会を紹介します。

東京駅からも近いところにあった〈ブリヂストン美術館〉が開館したのは1952年のこと。半世紀以上が経ち、建物の老朽化に伴って同じ場所で建て替えるため2015年から休館していた。それから4年、名称も〈アーティゾン美術館〉と変更して2020年1月18日にリニューアルオープンする。新しい館名は「Art」と「Horizon」(地平)を組み合わせた造語だ。
美術館が入るのは新築の「ミュージアムタワー京橋」の1〜6階。展示室は4〜6階に、1階にはミュージアムカフェ、2階にミュージアムショップ、3階にメインロビーとレクチャールームがある。

八重洲通り側にあった入り口は中央通り側に移動した。中に入ると1〜2階が吹き抜けになった大空間が現れる。1階のカフェ部分の大型ガラスは回転扉になっている。3〜5階にも吹き抜け空間が設けられ、非日常感が味わえる。
展示室は〈ブリヂストン美術館〉のおよそ倍の面積になった。床や天井の色を変えるなど、フロアによってそれぞれ個性ある仕上げがされている。4階と5階には吹き抜けがあり、立体的な展示が可能だ。照明は個別に調光・調色ができ、自然光に近い光を演出する。天井の高さは4.2メートルだが一部は元の〈ブリヂストン美術館〉と同じ2.7メートルとした。こぶりの絵画などはこの親しみやすい空間で楽しめる。

4階・5階のロビーにはチームラボによる「デジタル・コレクション・ウォール」が設置された。画面にタッチするとコレクションについてのさまざまな情報が得られる。「女性」「花」といったゆるやかなキーワードで収蔵作品を検索することも可能だ。


天井の高さが11メートルある「インフォメーション・ルーム」はトネリコのデザイン。過去の展覧会カタログなどが閲覧できるこの部屋の壁面は、アーカイブが積み重なっていくようなイメージだ。

サイン計画は廣村正彰によるもの。LEDによる「スリットライト」で文字やピクトグラムが浮き上がる。三日月のようなガラスのベンチは倉俣史朗のデザインだ。来場者が座れるようになっている。

2020年1月18日から始まる開館記念展『見えてくる光景 コレクションの現在地』はおよそ2800点の石橋財団コレクションから初公開作品31点を含む206点を紹介するもの。休館中に新しく収蔵された作品もお披露目される。印象派など近代美術のイメージが強かった〈ブリヂストン美術館〉だが、〈アーティゾン美術館〉では古代美術から現代美術まで視野を広げた。

展覧会は2部構成。第一部「アートをひろげる」では近代から現代まで、コレクションのハイライトを見せる。〈ブリヂストン美術館〉時代から人気のマネやセザンヌ、ブランクーシに加え、新収蔵品のメアリー・カサット、マーク・ロスコ、草間彌生などが登場する。



来年4月以降も同館コレクションと現代美術作家、鴻池朋子との「ジャム・セッション」や「琳派と印象派」など、時代の枠を超えるような企画展が用意されている。新しい美術館で、今までにないアート体験ができる。