March 14, 2019 | Travel, Architecture, Design | casabrutus.com
3月16日、西武鉄道で25年ぶりとなる新型特急車両〈Laview〉が運行を開始。美しい曲線を持つシルバーの車体が、池袋−西武秩父間を軽やかに結ぶ。
〈金沢21世紀美術館〉〈ルーヴル=ランス〉〈犬島「家プロジェクト」〉〈すみだ北斎美術館〉など、SANAAとして、また妹島和世として、世界中に数多くの建築を手がけてきた妹島。そんな彼女が、初めて車両デザインを担当した電車がお目見えする。
西武鉄道の新型特急車両〈Laview(ラビュー)〉。運行開始から25年が経過した〈ニューレッドアロー号〉の後継として、3月16日からデビューする。
「今までに見たことのない、新しい車両」を作りたいという西武鉄道の思いから、白羽の矢が立てられたのが妹島。鉄道車両を手がけた経験がないからこそ、既存の考え方にとらわれない新たな感性で、これまでにないデザインを実現してほしいという期待の高さが見て取れる。
デザインコンセプトは、「都市や自然の中でやわらかく風景に溶け込む特急」「みんながくつろげるリビングのような特急」「新しい価値を創造し、ただの移動手段ではなく、目的地となる特急」の3つ。
見る者をまず驚かせるのは、外装デザインだろう。柔らかな曲線を描く先頭部分には、国内初となる曲面半径1,500mmの三次元曲面ガラスを採用。そこから続く、緩やかなカーブに覆われた車両には、縦1,350mm×横1,580mmの大型ガラス窓が等間隔で設けられている。
アルミ素材の車体に施されているのはシルバーのメタリックな塗装。周囲の風景をおぼろげに映し出しながら、環境に溶け込む素材感は、〈ルーヴル=ランス〉や〈すみだ北斎美術館〉を思い起こさせる。
そんなスタイリッシュな外観に対して、高い居住性を追求したのがインテリア。沿線の景色をダイナミックに切り取る大開口を持つ客室内には、西武線をイメージしたイエローの座席を配置。身体を優しく包み込むようデザインされたシートは、居心地のよさとともにプライベート感も演出する。
3月16日のデビュー以降は、池袋線・西武秩父線で運行している〈ニューレッドアロー号〉に置き換えて順次運行した後、2019年度中には、すべての編成が〈Laview〉に移行予定。ビジネスに、通学に、観光に、これまでにない乗車体験が待っている。