July 4, 2018 | Travel, Architecture, Culture | casabrutus.com | text_Aya Hasegawa
世界遺産登録を記念し、天草市の〈﨑津資料館 みなと屋〉にて、天草キリシタン史と﨑津地域の魅力を紹介する企画展などが実施される。
6月30日、バーレーンで開催されている「第42回ユネスコ世界遺産委員会」において、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つとして、熊本県天草市の「天草の﨑津集落」が世界文化遺産に正式登録された。
長崎・天草地方には、江戸幕府のキリスト教禁教令により、宣教師やキリシタンに対する弾圧が激しくなる中でも密かに信仰を継承しつづけたことを物語る集落や史跡が多数存在する。今回それらが、「禁教期にも関わらずひそかに信仰を継続した長崎と天草地方における潜伏キリシタンの独特の文化的伝統」と評価され、世界文化遺産への登録が決定。日本国内の世界遺産としては6年連続、22件目の登録となった。また、熊本県内においては、2015年に登録された「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に次ぐ2件目となる。
「天草の﨑津集落」は、あわびやタイラギの貝殻の内側の模様を聖母マリアに見立てて崇敬するなど、漁業を生業とする集落特有の信仰形態が形成された地域だ。江戸時代後期に潜伏キリシタンが検挙された事件「天草崩れ」の舞台となった「﨑津諏訪神社」や、潜伏キリシタンとして信仰を続けた信者から寄付された土地に建てられた「旧﨑津教会跡地」(老朽化により1934年に移転再建され、現在の﨑津教会が完成)が残り、また禁教期に信仰を継続した信仰指導者の家である 「水方屋敷跡」には、潜伏キリシタンの信仰対象となったアワビやタイラギの貝殻のほか、メダイ(メダリオン)や十字架、和鏡などが保管されている。
世界遺産登録を記念し、天草市の〈﨑津資料館 みなと屋〉では、7月28日から「受け継がれた祈りのかたち〜信仰具からみた天草のキリシタン史〜」を開催。天草キリシタン史と﨑津地域の魅力を紹介する企画展などを実施する予定だ。