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ターナー賞受賞の〈アセンブル〉が設計したクラフトビール工場が徳島にオープン!

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November 30, 2017 | Architecture, Food, Travel | casabrutus.com | text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano

2016年に「ターナー賞」を受賞した建築家集団〈アセンブル〉が徳島でクラフトビールの醸造施設を設計! ビールの生産だけでなく、「マイビール」を熟成させたり酵母の培養もできる、ビールのアミューズメントパークです。

〈KAMIKATZ STONEWALL HILL CRAFT & SCIENCE〉外観。円錐形のタワーが「インディゴタワー・テイスティングサロン」。

徳島県上勝町で2015年に創業したクラフトビールブランド〈KAMIKATZ RISE & WIN Brewing Co. 〉。上勝特産の果実、柚香(ゆこう)やコーヒースパイスなどを隠し味にしたビールで一躍人気になった。同年にオープンした〈RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store〉はマイクロブリュワリー、テイスティングスタンド、ジェネラルストアなどがある施設。中村拓志が設計している。

〈RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store〉のテイスティングスタンドで乾杯するアセンブルの3人。左からジェイム・ビニング、アダム・ウィリス、アリス・エジャリー。

その第2醸造施設〈KAMIKATZ STONEWALL HILL CRAFT & SCIENCE〉を設計したのがアセンブルだ。彼らは昨年、イギリスで最も権威ある現代美術の賞「ターナー賞」を受賞した建築家集団。建築家なのに現代美術の賞を受賞したことで話題になった。受賞理由はリバプールのスラム街再生プロジェクト。地元住民とともに廃材を利用してつくったプロダクトを販売、利益を町の再生に活用するというものだ。

小高い山の中腹にある〈KAMIKATZ STONEWALL HILL CRAFT & SCIENCE〉。上勝の山並みを一望できる。

〈KAMIKATZ STONEWALL HILL CRAFT & SCIENCE〉は製材所だった建物をリノベーションしたもの。アセンブルのメンバーのうち3名が来日、上勝の人々とのワークショップで作り上げた。

醸造タンクはアメリカのPortland Kettle Works製。「イーストカルティべーション・ラボ」で選び抜いた酵母で、おいしいビールを作ります。

ブリュワリーにはポートランドのメーカーに特注した製造タンク9基を設置。年間約110キロリットルのクラフトビールを醸造できる。そのビールをバレルエイジド(木樽熟成)するための部屋が「オーナーズ・バレルルーム」だ。好きなウィスキー樽を選んでバレルエイジド(木樽熟成)ビールをオーダーできる。

「オーナーズ・バレルルーム」に並ぶウィスキー樽で“マイビール”を熟成させる。できあがりが楽しみになるエリア。
「パレットソファエリア」は〈RISE&WIN Brewing Co. BBQ & General Store〉のインテリアを担当したWRAP建築設計のデザイン。

「パレットソファエリア」は廃棄予定だったパレットなどを再利用したソファスペース。ビール片手にくつろげる。実験室のような部屋はビール酵母の培養や貯蔵保管を行う「イーストカルティべーション・ラボ」。 アメリカでビール造りを学んだ香川在住のブルーイング・ディレクター、ライアン・ジョーンズらがさらにおいしいビールをつくるべく、研究に励んでいる。

理科の実験室のような「イーストカルティべーション・ラボ」。ビール酵母の培養などを行う。
製材所だったころの雰囲気をそのまま残している。

アセンブルの提案で生まれたのが「インディゴタワー・テイスティングサロン」だ。ブリュワリーでオーダーメイドビールを注文する人がブリューイング・ディレクターといろいろなビールをテイスティングしながら好みの味を決められる。

「インディゴタワー・テイスティングサロン」内部。冬は囲炉裏の火を囲んでテイスティングできる。

特徴的な円錐形のタワーはヨーロッパでよく見られるボトルキルン(レンガ積みの窯)からインスパイアされたもの。藍染めで塗装した外壁は塗る回数を変えることでグラデーションをつけた。室内の囲炉裏は上勝町で自給自足の生活をしている中村修さんの手製。木の椅子はアセンブルのメンバーが上勝在住の大工、山中昇さんに教えてもらいながら、ノミなどを使って自作した。ここで使われる器は楽焼だ。徳島県阿波市に住む西村吉弘さんが上勝近くの小学校で楽焼大会を主催、そこにアセンブルが参加して作られた。

アセンブルのメンバーが作った楽焼の器。陶芸の経験はないが、さすがの出来栄えだ。

この施設は自分好みのクラフトビールをつくりたい、という人のためのものだが、予約すればビールのテイスティングなどとセットで見学も可能(有料)。上勝町は「ゼロ・ウェイスト宣言」のもとリサイクルを徹底し、2020年までに焼却・埋め立てゴミをなくそうという取り組みを行っている。もちろんビールは文句なしにおいしい! 第1醸造施設の〈RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store〉では予約しなくてもビールを楽しめる。ジェネラルストアでは「ゼロ・ウェイスト宣言」のコンセプトに沿った、リサイクルやリユースできる商品が買える。のんびりした山間の町でビールづくりやテイスティングを体験してみませんか?

理科の実験室のような「イーストカルティべーション・ラボ」。ビール酵母の培養などを行う。

〈KAMIKATZ STONEWALL HILL CRAFT & SCIENCE〉

徳島県勝浦郡上勝町生実東戸越84−1
。見学はウェブにて要事前予約。

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