February 1, 2025 | Design, Travel | window on the world
ニース旧市街の高台の修道院が10年かけてホテルとして再生し、話題を呼んでいる。
オーナーが目指したのは、建物の歴史と生活文化の永続的な継承。単なる改修でなく、400年間育まれた場の叡智と意義を受け取り、未来に残す、現世の姿としてのホテルなのだ。
17世紀築の修道院への建築的介入を託されたのは、スタジオ・ムンバイ。金属と木材の構造体、石灰と麻の注入剤により、建物の外観や配置を変えずに風通しよく、光あふれる修道院の秀逸な環境システムを再現した。250もの修道院を巡り研究を重ねた内装デザインとアートキュレーションは、オリジナルかのように見事に馴染む。
修道女と同じ場所で焼くパン、庭園に植えた植物やハーブ、近隣のホテルの専用農場から毎朝届く生鮮食品は、週末に開く朝市で市民に供給。修道院が担い続けたニースの生活文化を次世代へと紡ぐ。
〈Hôtel du Couvent〉
1, rue Honoré-Ugo, 06300 Nice。公式サイト