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2025年、新たに開館&リニューアルオープンする国内美術館5選。

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January 2, 2025 | Art, Architecture, Travel | casabrutus.com

近年、急速に進化している国内の美術館。来年も新しくオープンする美術館や、リニューアルする美術館が私たちを待っています。建築も所蔵コレクションも楽しみな5館を紹介します。

●【香川】2025年春:〈直島新美術館〉開館

©Tadao Ando Architect & Associates
©Tadao Ando Architect & Associates
©Tadao Ando Architect & Associates
©Tadao Ando Architect & Associates

いまや「アートの島」として世界中から多くの人が訪れる直島に新しい美術館がオープンする。「ベネッセアートサイト直島」で〈地中美術館〉などを設計してきた安藤忠雄の手による10軒目の美術館だ。建物は地下2階、地上1階の3層からなる。自然や集落と一体化した建物からは大きな窓ごしに穏やかな瀬戸内海が望める。館長はパリのパレ・ド・トーキョーのチーフ/シニア・キュレーターや2011年ヨコハマ・トリエンナーレのアーティスティック・ディレクターを務め、アジアやヨーロッパで多くの展覧会を手がけた三木あき子。ロゴデザインは祖父江慎が担当した。

開館年記念展示として会田誠、蔡國強、ヘリ・ドノ、N.S.ハルシャらが参加する展覧会が開かれる。世界に開かれた島にまた一つ、訪れるべきアートの拠点が生まれる。

●【鳥取】2025年3月:〈鳥取県立美術館〉開館

〈鳥取県立美術館〉外観(東側)
〈鳥取県立美術館〉ひろま
〈鳥取県立美術館〉展望テラス
〈鳥取県立美術館〉キッズスペース

2024年に逝去した槇文彦が率いた槇総合計画事務所の設計による美術館。建物は2024年3月に竣工、イベントなどで部分的に開館していたが、2025年3月に正式に開館する。

「倉吉パークスクエア」の一角に建つ美術館に入ると「ひろま」と呼ばれる3階までの吹き抜けが出迎える。3階の展望テラスなど、外部とのつながりを感じられるスペースも。1階はカフェやキッズスペースを含め、基本的に無料で入れる。2階から3階にはダイナミックな現代美術にも小さな仏像などにも対応できる大小さまざまな展示室がある。

屋外に設置された青木野枝の作品《しきだい》。高さは約3.9メートル、鳥取県中部の製鉄や鍛冶の歴史、そして美術館の立つ場所やその存在に思いをはせて制作されたという。3月の開館までに、さらにいくつかのアート作品が屋外に設置される予定だ。
アンディ・ウォーホル《ブリロ・ボックス》 1968年 シルクスクリーン、板 鳥取県立美術館蔵 © 2024 The Andy Warhol Foundation for the Visual Arts, Inc. / Licensed by ARS, New York & JASPAR, Tokyo G3679
やなぎみわ《My Grandmothers AI 》 2003年 発色現像方式印画 鳥取県立美術館蔵
植田正治《パパとママとコドモたち》1949年(プリント1980年代) ゼラチン・シルバー・プリント 鳥取県立美術館蔵
ゲルハルト・リヒター 《抽象絵画(648-1)》 1987年 国立国際美術館蔵 © Gerhard Richter 2024 (26072024)

開館記念展『アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術―若冲からウォーホル、リヒターへ』は江戸時代から現代まで、また日本だけでなく海外の作品もある同館のコレクションだけでなく、他館の作品も展示される充実の内容だ。美術のもっとも大きなテーマの一つである「何が“リアル”か」という問いへのさまざな回答が示される。

●【神奈川】2025年2月:〈横浜美術館〉全館オープン

〈横浜美術館〉外観 撮影:新津保建秀
〈横浜美術館〉1階天窓。復活した開閉式ルーバーにより、外の光が降り注ぐ空間へと蘇った。 撮影:新津保建秀

1989年に丹下健三の設計で誕生した〈横浜美術館〉。2021年3月から2024年3月にかけて大規模改修工事を実施、11月から部分開館していたが、いよいよ2025年2月に全館オープンを迎える。リニューアルによって大きく変わったのが2階のグランドギャラリーを中心とした「じゆうエリア」と名づけられたスペースだ。今回、修復された開閉式ルーバーにより巨大な天窓から降り注ぐ自然光の下、建築家・乾久美子と、アートディレクター&グラフィックデザイナー・菊地敦己によるさまざまなサイズのテーブルや椅子が人々を出迎える。

奈良美智 《春少女》2012年 アクリル絵具、カンヴァス 227 × 182cm 横浜美術館蔵 ©YoshitomoNara
ルネ・マグリット 《王様の美術館》1966年 油彩、カンヴァス 130×89cm 横浜美術館蔵
宮川香山 《高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒大香炉》明治前期 陶磁器 H29.7cm 田邊哲人コレクション(横浜美術館に寄託)

2月に開かれる横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」は同館のコレクションを中心に、横浜の歴史を新しい視点で紹介するもの。開港直後の様子を描いた錦絵、横浜駅近くの月見橋を描いた松本竣介《Y市の橋》のほか奈良美智、マグリットなどが並ぶ。会場内には「子どもの目でみるコーナー」を設けて子どものためにセレクトした作品を展示する。子どもから大人までさまざまに楽しめる。

●【大阪】2025年3月:〈大阪市立美術館〉リニューアルオープン

〈大阪市立美術館〉正面外観 撮影:佐々木香輔
〈大阪市立美術館〉1階中央ホール 撮影:佐々木香輔
1階じゃおりうむ(無料スペース) 撮影:佐々木香輔

〈大阪市立美術館〉は1936年に開館した全国で3番目に古い公立美術館。国宝、重要文化財を含む、およそ13500件のコレクション(寄託品を含む)を持つ美術館が開館以来、最大規模の改修を経て2025年3月にリニューアルオープンする。改修にあたっては国の登録有形文化財である建物外観は保全、階段を上らなくても入れるエントランスなど、バリアフリー対応の設備を充実させている。

美術館の東側には近代日本庭園の名園「慶沢園」(けいたくえん)を望むテラスを新設、カフェを設ける。1階に作られる「じゃおりうむ」は同館の代表的コレクションである古代中国・朝鮮の石仏を配したパブリックスペースだ。創建当時のトップライトによる自然光採光を復元、開放感が味わえる。

佐伯祐三《教会》 大正13年(1924) 大阪市立美術館蔵
《魚介蒔絵杯》(3枚のうち) 銘 羊遊斎 江戸-明治時代・19世紀 大阪市立美術館蔵(カザールコレクション)

3月にはリニューアルオープン記念特別展『What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!!』を開催、コレクションから選りすぐった約200件を見せる。4月〜6月の特別展『日本国宝展』には大阪ゆかりのものを含む、約130件の国宝を展示。大阪・関西万博に華を添える。

●【東京】2025年3月:〈霞会館記念 学習院ミュージアム〉リニューアルオープン

〈霞会館記念学習院ミュージアム〉外観。
特別展示室(イメージ)。

学習院大学の付属研究施設として1975年に設立された「学習院大学史料館」がリニューアル、〈霞会館記念 学習院ミュージアム〉として生まれ変わる。新しい建物は前川國男が設計した旧図書館を転用したものだ。この建物は1963年竣工、3つの正方形のボリュームと開放的なロビーを組み合わせたもの。新しくミュージアムにするにあたっては特徴的なコンクリートの外壁を復元、1階に「特別展示室」「常設展示室」を設置した。書庫や閲覧室などは収蔵庫としている。

八稜鏡形鳳凰文ボンボニエール(大正大礼 東京宮中饗宴) 銀製 大正4(1915)年12月8日下賜
蘇芳雲立涌地文蝶牡丹上文二陪織物袿(山階芳麿夫人寿賀子料) 絹 大正-昭和時代(20世紀)

リニューアルオープン記念展として3月に『華族文化 美の玉手箱 芸術と伝統文化のパトロネージュ』展を開催。同館が所蔵する皇族・華族ゆかりの調度品や身の回りの品、装束やドレス、絵画などを展示する。生まれ変わった前川建築で粋をこらした美を味わえる。


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