May 23, 2017 | Architecture, Travel | casabrutus.com | photo_Miki Yamanouchi text_Megumi Yamashita
ロンドンを代表するブルータリズム建築〈バービカン・センター〉内にある、〈バービカン・アートギャラリー〉。こちらで、日本の戦後の住宅デザインをテーマにした展覧会『The Japanese House: Architecture and Life after 1945』が開催中。
展覧会はアトリエ・ワンの塚本由晴をメインアドバイザーに、ローマのMAXXI国立21世紀美術館と共同企画されたもの。40人あまりによる200作品が展示になる。伝統とモダニズムが融合し、独自の住宅事情を反映しながら発展した日本の70年の住宅史を振り返る。展示は、西沢立衛の『森山邸』で始まる。敷地内に小さな10棟が配された住宅のうち、5棟を実物大で再現。日本ならではのコンパクトな住空間が体験できる。森山さんの暮らしぶりは、Beka & Lemoine が製作した映像で見ることもできる。 その奥に現れるのは、藤森照信の茶室。こちらはキングストン大学建築科の早津毅率いるユニットとのコラボレーションになる。木材を森に行って調達することに始まり、藤森の指導の元、各パーツも大学内のワークショップで製作されたとか。藤森は何度かロンドンに足を運び、学生を指導。「移築できるように作ってあります」 靴を脱いでティールームの中に入り、藤森ワールドを体感できるというのが、今展のハイライト。戸のハンドル、階段の手すり、陶製の照明の傘もなども学生が製作したものに。会場デザインはSANAA所属のルーシー・スタイルで、茶室周辺のデザインがいささかSANAA風。
日本の戦後の建築を「赤派」「白派」に分けて語ってきた藤森だが、赤派(藤森)と白派(西沢)が実物大で対峙するという明快な構成になっている。 2階の展示は、小津安二郎の映画からの抜粋に始まり、モダニズム上陸と日本の伝統の融合、戦後のマス住宅やメタボリズム、高度成長ポストモダン期の住宅、実験的な住宅、狭い土地を使った工夫、薄くて軽い住宅など、ざっくり時代を追いながら、変遷と多様性を展示する。 和風、狭小、ミニマル、マンガ、小津、打ち放しコンクリート、伝統技術、ハイテクなどなど。わかりやすい要素を起点に、日本の住宅事情が読み解かれている。景観保護基準が厳しいヨーロッパと比べれば、日本はなんでもありの建築パラダイスにも映る。このところ、イギリスでは行きたい国のナンバーワンに挙げられる日本だが、この展覧会もかなり話題を集めている。