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京都・宇治に世界が注目する新たな日本の聖地〈ニンテンドーミュージアム〉が誕生。

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November 8, 2024 | Design, Architecture | casabrutus.com

花札から始まり《Nintendo Switch》まで、百年以上にわたり世代を超えて愛される製品を作り続けてきた任天堂。その数多くの作品に触れながら、娯楽の歴史を知り体験できる場として、宇治小倉工場をリノベーションして誕生したのが〈ニンテンドーミュージアム〉。思い出が蘇る懐かしい製品から、ビッグコントローラーなど独自の体験展示までを揃える新たな聖地の登場だ。

丘の上には『スーパーマリオ』シリーズでおなじみのゴールポールが現れる。ドット絵で描かれたマリオがかわいい。
敷地内の広場に現れるクリボー。足元に潜んでいるキャラクターにも注目を。
スーパースターも発見。
ハテナブロックにスーパーキノコ。土管の中に入って写真を撮ることもできる。
ピカチュウの絵が描かれたマンホール蓋・ポケふたも。京都府内で8つめのポケふたが敷地内に。
エントランスで出迎えてくれるのは『スーパーマリオ』シリーズに登場するキノピオたち。頭を触ると声を出し、全部触ると合唱する仕掛け。

日本をはじめ世界中の人々を夢中にさせる娯楽を提供し続けてきた任天堂。その花札やトランプを作ってきた工場をリノベーションしたのが〈ニンテンドーミュージアム〉だ。入り口で発行される入館証には、8ビットのマリオの姿と自分の名前が印字されており、最初から気持ちを盛り上げてくれる。ゲートを潜ると土管にハテナブロック、丘の上にはマリオがゴールポールをのぼる姿も見える。地面のあちこちにもキャラクターが描かれていて、館内に辿り着くまでに何度も足を止める仕掛けがたまらない。

ミュージアムのメインとなるのは第1展示棟。エスカレーターで2階に上がると歴代のゲーム機やゲームソフトがずらりと並ぶ。解説があえて添えられていないのは、自分自身の記憶と体験を思い出しながら、任天堂のものづくりの変遷に触れてほしいとの思いから。遡って《ゲーム&ウオッチ》や、その前の時代に作られていた花札やトランプなどまでが展示され、任天堂の歴史をじっくり振り返れる場となっている。1階は懐かしいゲームを始め、さまざまな遊びが体験できる場。ほかにも、第2展示棟には限定グッズなどが並ぶショップ、そして第3展示棟には特別なアプリを使い、好みの具材を組み合わせたハンバーガーをオーダーできるカフェなどが揃い、任天堂ワールドにどっぷり浸ることができるのだ。

第1展示棟2階中央にあるキューブビジョンには各ゲーム機のロゴが映る。1階のホワイエから続くエスカレーター内で流れるゲーム機の起動音と連動している。
《ファミリーコンピュータ》のソフトは日本、北米、欧州のものが並び、デザインや大きさの違いを見比べることができる。
ゲーム機ごとに分かれた展示棚。天井にはゲームソフトに対応した巨大なコントローラーがディスプレイされている。
ハテナブロックのデザインの変遷を楽しめるディスプレイ。ほかに取扱説明書やチラシなどの展示も。
上空から眺めれば、敷地内に散りばめられた遊び心がよくわかる。第1展示棟は巨大なハテナブロックだ。

第1展示棟2階にある展示室は、長く娯楽を提供し続けてきた任天堂の歴史が凝縮するアーカイブ。とりわけ注目が集まるのは、《ファミリーコンピュータ》以降に日本で発売されたほぼすべてのゲームソフトが並ぶ展示棚だ。棚はゲーム機ごとに分けられており、上部にはモニターと超指向性スピーカーを設置。ゲームソフトのプレイ映像とともに、かつて遊んだゲームを懐かしく思い出す仕掛けとなっている。

ほかにもファミリーコンピュータを発売する以前から、任天堂が販売していた《ゲーム&ウオッチ》は全種類を展示。《Wii Fit》などのフィットネスが楽しめるゲームへと繋がる進化を遂げてきた体を使った遊び道具、創業時に作っていた花札やビデオゲームを作る前の時代に販売していたトランプやボードゲーム、そしてベビーカーや簡易コピー機《コピラス》など珍しいアイテムまでが並ぶ様子はまさに圧巻。ハードの進化とともに変化を遂げた『スーパーマリオ』シリーズや『ゼルダの伝説』シリーズといったビデオゲームの映像表現を見比べることができるモニター展示など、心くすぐるキュレーションもある。時の経つのを忘れるほど見ごたえのある展示を通して、任天堂がなにものにも変え難い企業であることを改めて実感するに違いない。

1階の中央には巨大なモニターがあり、その上を歩きながら百人一首の世界に浸るアトラクション「しぐれでんSP」が体験できる。
木版摺で作られた、古い時代の小倉百人一首も展示されている。デザイン性の高さにも惹かれる。
「しぐれでんSP」は専用のスマートフォンが読み上げる和歌の下の句の札を、足元のフロアビジョンから探し出してカメラにかざすことでポイントを獲得するゲーム。
左は1968年に発売されたバッティングマシーン《ウルトラマシン》。
1966年に発売された、持ち手を閉じると伸びる玩具《ウルトラハンド》を操作し、ボールを土管に入れて楽しむ《ウルトラハンドSP》。
《ウルトラマシン》が発売された時代の家庭をイメージした空間で、飛んでくる球をバットで打って遊ぶ《ウルトラマシンSP》。

第1展示棟1階は、これまでに発売された玩具と最新の技術を掛け合わせたインタラクティブな遊びを楽しむ場。入館証に付与された10枚のコインを使い、8つのアトラクションから好きなものを選んで体験できるのだ。

《ニンテンドークラシック》は「Nintendo Switch Online」で配信されているファミコン、スーパーファミコン、《NINTENDO 64》向けの80以上のソフトを揃え、各ゲーム機のコントローラーで遊ぶことができる。思わず『懐かしい』と歓声を上げてしまいそうなゲームが用意されていて、つい夢中になってしまうに違いない。ほかにも歴代ゲーム機のコンローラーを巨大化し、2人1組でゲームに取り組む「ビッグコントローラー」。光線銃で遊べるクレー射撃「レーザークレー」を現代の技術でよみがえらせ、『スーパーマリオ』の世界で射的を楽しめる形にアレンジした「ザッパー&スコープSP」。1980年に発売された《ゲーム&ウオッチ》のゲームを巨大な画面に再現し、身体を動かして操作する《ゲーム&ウオッチSP》と、大人も夢中にさせる懐かしくもあり新しくもある遊びが揃っている。

馴染みのあるコントローラーを使ったゲームも、大きさが変われば違った遊びが体験できる「ビッグコントローラー」。
《ニンテンドークラシック》で体験できるゲームのラインナップの一部。
パッケージひとつで、遊んだ当時の記憶が鮮明に蘇ってくる。
1990年に発売された『ドクターマリオ』も《ニンテンドークラシック》でプレイが可能。当時のゲーム機と同じ感覚のコントローラーで遊べるのも魅力。
1950年以前に作られた花札や株札も展示されている。
創業時に作られていた花札の箱。かるたやトランプなども展示されている。
発売年と合わせて展示された《ゲーム&ウオッチ》。
レトロな初代ファミコンのコントローラー。歴代のコントローラーを眺めるだけでも楽しめる。
ゲーム&ウォッチの次世代ゲーム機として発売されたゲームボーイ。
スーパーファミコンのコントローラー。

体験できるアトラクション以外にも見所は数多い。エントランスにはマリオの生みの親であり、現在は任天堂の代表取締役フェローでもある宮本茂のサインが輝く。 歴代のゲームキャラクターが勢揃いするウォールには、《ゲーム&ウオッチ》時代のキャラクターも描かれているから、ついつい見入ってしまうに違いない。

第1展示棟1階には、体験展示だけでなく古い花札や、ゲーム機が年代順にディスプレイされていて、つい足が止まってしまう。アウトロは花札の製造に使用していた金型やラベルの保管庫のほか、宇治小倉工場の写真、書家・津村枕石による「任天」の書など、任天堂のものづくりの歴史を知ることができる展示となっている。

ドット絵の看板が目を引く。ハンバーガー以外にもデザートやスペシャルドリンクが用意されているカフェ。
ディスプレイに使われているパレットにもNINTENDOの文字が。
『ゼルダの伝説』のリンクとゼルダが描かれたステンドグラス。
バンズ、メイン、トッピング、ソースと選んでオーダーするアプリ。素材のアイコンは、あれこれ試したくなる可愛らしさ。
万願寺とうがらし、厚揚げ、レンコンきんぴらなど京都らしい具材をセレクトしたオリジナルバーガー。ポサイドメニュー、ドリンク付2,100円〜。

敷地内に併設されたカフェ〈HATENA BURGER〉も、また任天堂らしい遊び心に溢れている。空間はゲームフィールドをモチーフにしたテーブルや、かつて宇治小倉工場で使われていたパレットを使ったユニークなもの。『あつまれ どうぶつの森』のゲーム内で条件を満たすともらえるポスターや、『ゼルダの伝説』のステンドグラスなどがディスプレイされ、ゲームの世界とリンクするスペシャル感を醸し出しているのだ。

メニューは特別なアプリを使ってゲーム感覚で注文する「HATENA BURGERセット」。今回はサワラの西京焼きやビッグキノコなどのメインに、万願寺とうがらしや九条ねぎなどのトッピング、しば漬けタルタルソースなどを組み合わせて作るオリジナルのハンバーガーをオーダー。その組み合わせは27万通り以上というから、何度も足を運びたくなってしまう。

館内のあちこちに現れる隠れキャラ。ハテナブロックの上で発見したピクミンの姿。
コースに見立てた階段の手すりの上を飛び越えるエキサイトバイク。
傘立てはゲームボーイがモチーフ。ロッカーはゲームボーイのカセットのデザインに。
足元や天井に潜んでいる隠れキャラも見逃したくはない。
《ファミリーコンピュータ》から《Nintendo Switch》まで歴代ハードが、Tシャツやステッカーセットなどになって販売される。
ビッグサイズのクッション ファミリーコンピュータ コントローラー11,000円。

最後に立ち寄りたいのはミュージアムショップ〈BONUS STAGE〉。オフィシャルグッズに加え、マリオやコントローラーが描かれた小皿やロゴ入りTシャツなど〈ニンテンドーミュージアム〉限定のアイテムも充実。ファミコンカセットを再現したメモ帳、巨大な4種類のコントローラー型クッションなど、心くすぐるアイテムが揃っている。

敷地内のあちこちで出合える隠れキャラも含め、任天堂のエンターテインメントが凝縮する〈ニンテンドーミュージアム〉。娯楽をとことん追求し、自然と笑顔をもたらしてくれる空間は、見ても体験しても、記憶を紐解いても楽しめる新たな施設だ。

ニンテンドーミュージアム

京都府宇治市小倉町神楽田56。10時〜18時。火曜(祝日の場合は営業、翌水曜休み)、12月30日〜1月3日休。入館料3,300円。チケットは事前予約制、購入はチケットページから(https://museum-tickets.nintendo.com/)。近鉄京都線小倉駅東口から徒歩5分、JR奈良線JR小倉駅北出口から徒歩8分。


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