September 16, 2024 | Vehicle, Design | Chill CARS
1970〜80年代頃の日本車は、「10年10万km持てばいい」という時代だった。一方、〈メルセデス・ベンツ〉が1976年から85年まで販売した《W123》は、「100万km持つ」と謳われた。
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必要以上に高品質にクルマを作りあげる、「オーバークオリティ」の設計がなせる業だった。これは、当時の〈メルセデス・ベンツ〉の思想である「最善か無か」の具現化のひとつともいえた。最善の製品以外はないものに等しい、という考え方だ。そのため《W123》は、耐久性のみならず安全性にも優れており、実用セダンに必要な居住性・快適性なども高い水準で満たしていた。
各部にメッキを多用したクラシカルなエクステリアは、派手さはないが荘厳。中身が詰まった無垢の鉄でできたような「重さ」さえ視覚的に感じられる。《W123》の頑強さがにじみ出ているようだ。
視認性に優れたメーター、機能的なスイッチ類の設計を持つインテリアも、《W123》の美点だ。過剰な装飾を持たない柔らかなデザインも、現代人の目には優しい。
クルマの寿命は「20年30万km」に延びたとされる。メンテナンスを行えば、それより長く走ることも可能だ。しかし想定使用年数・距離をはるかに凌駕するクルマは、そう多くはない。それは、今日の〈メルセデス・ベンツ〉においても例外ではないだろう。
二度と生まれ得ない、過剰なまでに高品質な実用セダン。それこそが《W123》の大いなる魅力だ。
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