September 9, 2024 | Design, Art, Travel | casabrutus.com
工芸技術の存続とクリエイターの支援を目的に創設されたミケランジェロ財団が主催する『ホモ・ファベール』。その第3回目がヴェネチアで9月30日まで開催中です。
人生の旅路をテーマに作品を展示
今回のテーマは「ジャーニー・オブ・ライフ:人生の旅路」。リシュモングループがバックアップするミケランジェロ財団の副会長、ハンネリ・ルパートの発案によるものだ。このテーマを元に、映画監督・ルカ・グァダニーノと建築家・ニコロ・ロズマリーニがアート ディレクションを担当。世界70カ国から400の作家による800点以上、105種類の作品が、サン・ジョルジョ・マッジョーレにある元修道院を会場に、ドラマチックに展示されている。
前回は日本の人間国宝の作品を集めた展示がハイライトの一つだったが、今回、日本からは13の作家や工房の作品が各テーマの中で展示されている。
人生の旅路は、「誕生」に始まり「子ども時代」「祝賀」「愛」「旅」「自然」「夢」そして「来世」まで、10のテーマで描かれている。クラフト作品で人生の物語を紡ぐという壮大なビジョンだが、400年の歴史がある元修道院が舞台ならば、それも違和感がない。
各展示室には次世代の工芸作家を育てる「Homo Faber NextGen 」の一環で、25カ国からセレクトされた65人の若いクラフト作家たちが在廊している。彼らが案内や質疑応答をしてくれるのも、この展覧会のユニークな点だ。各作品にはQRコードの表示があり、ビジターがお気に入りの作品を投票できる仕組みに。最も票を集めた3作品に、それぞれ10000ユーロの賞金が贈られることになっている。
デモンストレーションやワークショップも
カルティエ、ヴァン クリーフ&アーペル、ジャガー・ルクルト、IWC、ピアジェ など老舗ブランドの職人らによる実演デモンストレーションもハイライトの一つ。参加型のクラフトワークショップもある。
最後は顧客と作家や工房をつなぐ〈Via Arno〉へ。 作品のコミッションなどはこちらで受け付けている。そのほか、期間中はガラスで有名なムラノなど、各所にある70の工房も一般公開に。参加型イベントもあるので、普段は見ることのできないリアルなヴェネチアを感じる機会にもなっている。
会場の奥には、藤森照信、ノーマン・フォスター、スミリャン・ラディッチなどがデザインした〈バチカン・チャペル〉も常設になっているので、こちらもお見逃しなく(要事前オンライン予約)。開催中の『ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展』と合わせ、ヴェネチアを訪問するならぜひ2つをハシゴしてみよう。