August 16, 2024 | Art, Fashion | a wall newspaper
コラボ作品をデザインした森永邦彦と、美術館の展示空間に新たな広がりを構想する妹島和世に、話を聞きました。
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酷暑の日が続く東京の週末、〈東京都庭園美術館〉正門横の旧門衛所に現れた、涼しげな色合いのオブジェはアート作品!?
実はこれ、ファッションブランド〈アンリアレイジ〉デザイナー森永邦彦による新作ドレスなのだ。
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「日常と非日常をテーマに、目に見えないものをデザインしてきましたが、今回は服が大きくなると身体の周りに空間が生まれることに着目。工事現場などで普及しているファン付き空調服の機能を応用して、空気を可視化したフォルムを作りました。マリリン・モンローの、地下鉄の風にあおられたスカートのように空気で作られた形なので、展示中も風や人の動きで形が変わるのが面白いと思います」と、意図を明かす森永。
1平米あたりわずか23gとタイツ並みの薄さの生地に防風加工を裏打ちして気密性を高め、ファンから送り込んだ空気がドレスを膨らませる仕組みだ。
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「皆でこれを着て美術館の緑の中を駆けまわったら面白いと思います」とは、監修者の妹島。
「館長就任以来、庭園美術館の建物や庭をシームレスに回遊する動線づくりについて考えています。この無料スペースもその一環で、今回森永さんに依頼しました。2020年のコレクション映像『HOME』を見て、私が考える建築と人の関係と、森永さんの服と空間の関係には共通点があると思ったからです。森永さんの《◯△▢》シリーズがもっと膨らんでいく形を提案して、それが風を含んだ洋服になっていきました。建築模型と違い、服は1/1で実物を作れるのもいいですね。3体並ぶと軽やかで色もきれいです」
妹島に対して、森永も応える。
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「既存作品を展示する可能性もありましたが、妹島さんが提示した“シームレス”というテーマが明確だったので、新作で挑戦しました。色味も空気のような白っぽさから庭園の緑へつながるよう、意識して決めています」
「機能から生まれた空調服が洋服でもアートでもない、なにか別の形になって、違うものに生まれ変わっていると思います」と、妹島が締めくくった。
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