March 13, 2017 | Design, Architecture, Food | a wall newspaper | photo_Satoshi Nagare text_Jun Ishida
谷根千ブームで賑わう根津にまた一つ話題のお店が。旬の野菜が揃う八百屋さんは、デザインにも注目です。
下町情緒漂う根津に、デザイン界も注目の八百屋がオープンした。その名は〈ベジオべジコ根津〉。宮崎産のオーガニック野菜を中心に、産地から直送された旬の野菜が揃う。 日本一の魚屋と評判の〈根津松本〉や伝統の〈根津のたいやき〉など人気店が並ぶ通りの一角にできた店舗は、ロゴを大きく配したシンプルな暖簾が目を惹き付ける。ロゴのデザインはグラフィックデザイナーの平林奈緒美、そして店舗デザインは片山正通が手がけた。豪華な布陣だが、お店の雰囲気はあくまで町の八百屋さん。片山は、「若者が九州・宮崎の農業を変えたいと言って流通改革に取り組んでいる姿を見て、応援したくなりました。仕事を受けたというより、チームの一員として参加した感じかな」と振り返る。
ベジオべジコは、宮崎で二人の若者が立ち上げた生鮮食品の宅配会社だ。特殊栽培で作られた野菜の仕入れが評判を集め、今年1月には東京に進出。都内一部地域での野菜の即時配送を始め、“顔”となる店舗を根津に開いた。 旬の野菜と果物で作られるスムージー。取材した2月は日向夏とりんご、月いろ人参をミックスしたスムージーを販売。500円〜。 店内は、野菜の入った木箱がずらっと並んだシンプルなもの。野菜はすべてスタッフが訪ね歩いた農家から仕入れたもので、中一日で産地から送られてくる。
「商品そのものの魅力だけで商いを成立させる、昔ながらのシズル感あふれる商店のような空間を目指しました。九州のもぎたての野菜を届けたい。そんな彼らの思いや勢いを伝えるには、表層的なショップづくりやブランディングは不要。すべて包み隠さない、潔さのある店舗がいいと考えた」と片山。
近隣にも馴染み始めた近頃は、買った野菜で美味しくできたからと、差し入れをしてくれることもあるという。「農家とお客さんの懸け橋になりたい」という若者たちの気持ちから生まれた町の八百屋さんは、流通の実験場でもあるのだ。 今年1月よりスタートした都内一部地域での生鮮野菜と果物の即時配送サービス〈VEGERY(ベジリー)〉。専用アプリをダウンロードすれば、野菜や果物を1個単位で購入でき、配送時間を1時間単位で指定できる。現在は渋谷区、港区、目黒区、世田谷区のみで配送サービスを行っているが、順次拡大の予定だ。