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ジョルジオ・アルマーニの名言「僕は何がなんでも自分のセンスを押しつける…」【本と名言365】

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July 24, 2024 | Culture, Fashion | casabrutus.com

これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。自身の名を冠したブランドで、戦後から現在までメンズファッションに新風を巻き起こし続けるジョルジオ・アルマーニ。その服作りを貫く精神とは?

ジョルジオ・アルマーニ/デザイナー

着心地よくソフトなジャケットスタイルを生み出し、従来の堅苦しいイメージからメンズファッションを解放したジョルジオ・アルマーニ。彼の名とそのスタイルを世界に知らしめるきっかけとなったのは、1980年公開の映画『アメリカン・ジゴロ』だった。

若き日のリチャード・ギア演じる主人公が、鼻歌を口ずさみつつ、クローゼットから色鮮やかなジャケット、シャツ、ネクタイを取り出し、軽快かつ入念にコーディネートを組んでいく。一度観たら忘れられないこのシーンを彩るアイテム群をはじめ、本作の衣装を担当したのが、ブランドを始めて間もない頃のアルマーニだった。

以後、顧客リストには、数々のハリウッドセレブが名を連ねることになる。しかし、「仕事をしている人のために服をつくるのが好きなんだ。俳優や女優も働く人だし、スター云々は関係ない」と、アルマーニが浮き足立つことはない。「モードは人を隷属させるもの」ではなく、「服を着るという行為は、純粋な楽しみであり安らぎ」であり「自分らしさや自信を得るための、ひとつの方法に過ぎない」と考えているから。「僕は何がなんでも自分のセンスを押しつける独裁者にはなりたくない」という言葉には、そんな彼の哲学が集約されている。

ブランドを立ち上げる以前、彼はミラノの百貨店〈ラ・リナシェンテ〉のバイヤーを務めていた。当時はファッション好きの男性客を、思うように満足させられないことが歯痒かったという。既存のジャケットでは「個性的で自分らしい装い」を提案できなかったからだ。そのもどかしさこそが、彼をブランド設立に向かわせたと言っても過言ではない。デザイナーとしての自己顕示欲を優先するのではなく、あくまで着る人に寄り添うこと。アルマーニのクリエイションを貫くのは、バイヤー時代に培った”現場主義”の精神なのだ。

幼少期から現在に至るまでのアルマーニの軌跡が、本人はもちろん、親族や関係者へのインタビューを通して解き明かされる。『ジョルジオ・アルマーニ 帝王の哲学』レナータ モルホ著、目時能理子、関口英子訳、日本経済新聞出版社、3,080円/2007年

ジョルジオ・アルマーニ

1934年生まれ。ファッションデザイナー。百貨店〈ラ・リナシェンテ〉や〈ヒットマン〉のインオフィスデザイナーなどを経て、1975年に自身のブランド〈ジョルジオ アルマーニ〉を設立。複数の姉妹ブランド、化粧品、リゾート、高級レストランなど多彩な事業を展開している。

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