June 21, 2024 | Architecture | a wall newspaper
なんだか難しそうと敬遠しがちな建築の構造デザイン。けれどそこには無限の可能性と創造性が宿っています。東京・品川の寺田倉庫〈WHAT MUSEUM〉で100点以上の構造模型を展示する大型の建築構造展『感覚する構造 –法隆寺から宇宙まで–』が2024年8月25日まで開催中。次世代の構造家や構造デザインの他への展開事例など、新たな発見にあふれた展示です。
法隆寺五重塔 元大工の田村長治郎が2年をかけて図面から制作した1/10模型。名棟梁として知られる西岡常一も携わった法隆寺の「昭和の大修理」の資料を取り寄せ、当時の実測記録から数値を割り出している。法隆寺五重塔は塔の上下に通る心柱が制振構造のような動きをしていると考えられており、これは東京スカイツリーにも応用されたことで知られる。
世界最古とされる木造建築の〈法隆寺五重塔〉から現在開発が進んでいる月面構造物まで、建築の骨組みである構造に着目した展覧会が〈WHAT MUSEUM〉で開催中だ。さまざまな状況下で建築を支える構造は非常に重要な役割を果たすとともに機能美をも備える。その考えと美しさに迫る展示だ。
大阪・関西万博 パビリオン 基本設計:藤本壮介+東畑建築事務所+梓設計。2025年に開催される2025年日本国際博覧会の会場シンボルとなる大屋根は、構造用集成材を部材に日本古来の貫構法を採用して建設が進む。完成すると、建築面積(水平投影面積)約60,000平米、高さ12m(外側20m)、内径約615mの世界最大級の木造建築物となる。
現在開催されるのは前後編からなる後期展で、近年世界的に技術更新が進む木造にフォーカス。サステナブルかつ柔軟な可能性を持つ木造の多彩な表現を新旧の視点から紹介する。実際の建築で構造を俯瞰することは難しいが、模型では隅々までつぶさに見ることができる。プロから子どもまで楽しめる構造の入門篇だ。
輪島塗工房復興プロジェクト 今年1月に発生した能登半島地震で甚大な被害を受けた能登地方。その一つ、輪島塗で知られる輪島市では多くの工房が被害を受けた。構造家の木下洋介は復興プロジェクトに参加し、半倒壊した木造建屋を引っ張り上げ、新たに耐震補強を加えて建て直した。木造の柔軟さを巧みに用いて速度が求められる復興に尽力する。
『感覚する構造 –法隆寺から宇宙まで–』
〈WHAT MUSEUM〉
東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫G号。〜2024年8月25日。11時~18時。月曜休。観覧料1,500円。