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デザインジャーナリストによる新しいデザイン誌の登場です!

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June 1, 2024 | Design, Culture | a wall newspaper

数々の雑誌で活躍するジャーナリスト・ライターの土田貴宏が新たなデザイン雑誌を創刊しました。

表紙はベルリンを拠点に活動するゴンザレス・ハーゼAASとサビーヌ・マルセリスのダブルカバー。折り返しを開く仕様。

国内外でデザインにまつわる取材を行い、小誌『カーサ ブルータス』をはじめとするさまざまな雑誌に寄稿するデザインジャーナリストの土田貴宏。その知見に信頼も篤い土田が自ら雑誌『Ilmm』を企画した。取り上げるのはコンスタンティン・グルチッチやセシリエ・マンツといった日本でも知られるデザイナーから、フォルマファンタズマやサビーヌ・マルセリスなどの時代の先端をいくデザイナーなど幅広い。土田は発刊の経緯を「いま日本にはプロダクトを中心に扱うデザイン誌がなく、そうした雑誌があってもいいのではないかと周囲の友人知人と以前から話していたんです。きっと需要は大きいはずだと感じています」と言う。

土田は昨年、〈21_21 DESIGN SIGHT〉で開催された企画展『The Original』でディレクターを務めた。デザインは形よりも社会問題を解決する手段であると謳われる時代において、若い世代を中心に大きな反響を得ることができた。それは発刊の手応えにもつながった。

オランダ・ロッテルダムに拠点を持つデザイナー、サビーヌ・マルセリスと彼女のパートナーである建築家のポール・クールネのインタビューを自宅で行った。

「掲載するデザイナーのほとんどは、表現にそれぞれ独自の魅力があります。現在のデザインはそれがどう役立つか、どんな問題を解決するか、どんな背景から生まれたかが重視されがちです。それはもちろん大切ですが、『Ilmm』ではそのような役割によってデザインを判断せず、素晴らしいと直感した表現の根本を掘り下げることで社会や時代との関連が見える、というスタンスを取りたいと考えています。これは形あるデザイン、目に見えるデザインの意義をあらためて捉えることに繋がります」

執筆者も土田が信頼を寄せるジャーナリストやライターたちで、強い編集方針よりも彼らの興味を引き立てたいと考える。取材先の人選も、制作チームの間での日常的な対話から導かれたものだ。

イタリア・ミラノに拠点を持つデザインユニット、フォルマファンタズマの記事はデザインジャーナリストの田代かおるが執筆。田代は彼らの初期から取材を続けており、他では読めない充実の内容になっている。

今号はパイロット版で、今後は年2回の発行ペースを予定する。情報の速度が速い時代だが、アナログな紙の本らしい速度が取材内容や考察にも適しているとの思いもある。なにより他にないオリジナルの取材内容、独自の人選による紙面は知的好奇心を大きく刺激する。この雑誌がデザインの次なる時代を切り拓くかもしれない。

『アイエルエムエム』

土田が電車で見かけたTシャツに書かれていた言葉が気に入って、その頭文字をタイトルに。13本の記事からなる208ページ。オンラインショップのほか、一部書店や家具店などで販売。4,620円。

土田貴宏

つちだたかひろ 1970年北海道生まれ。会社員を経て2001年からフリーランスで活動。近著『デザインの現在 コンテンポラリーデザイン・インタビューズ』(PRINT & BUILD)。photo_Kenya Abe

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