May 23, 2024 | Culture, Design | casabrutus.com1
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。独自の視点と深い感性で写真家、文筆家、画家、書家として発表を続ける藤原新也。30年前に発表され、ロングセラーを続ける彼の著書は、生きるとは何かといった深遠な問いを私たちに投げかけます。
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本当の死が見えないと本当の生も生きられない。
日本を代表する写真家・藤原新也は文筆、絵画や書などあらゆる表現領域で発表している。東京藝術大学在学中に訪れたインドを皮切りにアジア各地を旅し、写真とエッセイによる『インド放浪』、『西蔵(チベット)放浪』、『逍遥遊記』を発表。旅のバイブルやコマーシャリズム批評として読み継がれている。さらに、ラテン語で「死を思え」と題した作品集『メメント・モリ』は、死の現実を容赦なく描き出し、多くの読者を魅了している。
本の中では、世界各地で撮影した死体や墓地、農村に暮らす人々やたくましく生い茂る植物など、生と死を露わにする写真とともにこんな言葉が記されている。「本当の死が見えないと本当の生も生きられない。等身大の実物の生活をするためには、等身大の実物の生死を感じる意識(こころ)をたかめなくてはならない」
終わりのない戦争や環境問題、経済不安、天災や流行病など。さまざまな社会問題に直面する世界で私たちは生きることの意味を見失いがちだ。だが、藤原の作品を見ていると、「死を思うからこそ、生が照らされる」ことに気付かされる。むやみに死を恐れることなく、生を全うしようというまっすぐな言葉が心に響く。
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