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Channel: カーサ ブルータス Casa BRUTUS |
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【今週の花と器】勿忘草(ワスレナグサ)と〈ソフィー ルー ヤコブセン〉の《ウェーブ ガラス ピッチャー》|2月

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February 26, 2024 | Design | casabrutus.com

2月4週目の担当は、渋谷区西原の花屋〈フォレジャー〉店主のチーコさん。吹く風に春のぬくい空気を感じ、冬の終わりを予感する2月の下旬。もの憂げな勿忘草にビビッドなラナンキュラスをかけあわせ、野生味のあるユーカリとともに束ねました。波打ったハンドルとボディのバイカラーが楽しげなピッチャーとの色合わせを楽しみます。

「こっから春に向かっていくよ!」という気分になると、野に咲くような草花を飾りたくなります。それも、しっかり色のあるものを。今回の器はハンドルが波打ち、カラーリングもキュート。そこに映える印象にしたいと思いました。とはいえ、甘くしたり、ポップな花を合わせるのもちょっと違う。どこかもの憂げな勿忘草(ワスレナグサ)の群青色は、2月下旬の春を感じ始めるぬくい雰囲気とも合う気がしたんです。数日間飾っていると、絵に描いたような勿忘草の花がテーブルや棚の上にぽつぽつと落ちていきます。それも可愛らしいんです。

今回は3種類の花を活けました。勿忘草は本数多めで、手前に広がるように。ラナンキュラスはその内側に差し込んでいきます。背景にラナンキュラスの引き締まった赤が入ると、勿忘草のブルーがくっきりと際立ちます。陽気な赤と、アンニュイなブルー。このコントラストも気に入っています。プレゼントで花束を贈るときも、私は花を1種類か多くても3種類くらいでまとめることをおすすめしています。そのほうが記憶に残りやすいと思う。それぞれの花の印象が混ざり合いすぎないから、こういう花束だったなあと映像的に思い出しやすい気がします。

ばさっとした笹葉のユーカリは、これまでも大切にしてきた、アレンジにワイルドな雰囲気を加える要素。可愛げのあるお花とナチュラルなムードの葉っぱを合わせると、ちょっぴりビターで、庭で咲いた花を摘んできたようなアレンジになります。振り返ってみると、この連載で私が伝えてきたのは、花とグリーンをどう合わせるのか? ということ。そしてグリーンは、器と花の関係性をよりよいものにしてくれる存在でもある。花だけを器に活けたとき、すかすかして見えたり器と馴染まなかったり、なんとなく座りがよくないような…、というときは、葉ものを添えてみてください。部屋で一緒に過ごしていて「ずっと見ていられるなあ」という花と器の風景をつくるちょっとしたアイデアを、お花屋さんにふらっと行ったとき思い出してくれたら嬉しいです。

●今週の花:勿忘草(ワスレナグサ)

春に米粒サイズの花を咲かせる勿忘草(ワスレナグサ)。印象的な名前は「私を忘れないで」という意味の英名「Forget me not」を直訳したもので、可憐なブルーとあいまって儚げなイメージをただよわせる。

●今週の器:〈ソフィー ルー ヤコブセン〉の《ウェーブ ガラス ピッチャー》

ニューヨークを拠点に活動するデザイナー、ソフィー・ルー・ヤコブセンによるピッチャー。絶妙なバイカラーはたちまち食卓をにぎやかな雰囲気にする。軽やかなカラーは春の花との掛け合わせも楽しい。〈ソフィー ルー ヤコブセン〉の《ウェーブ ガラス ピッチャー》イエロー/ピンク、ピンク/アンバー W15×D9.5×H25cm 各47,300円(MoMA デザインストア 表参道 https://www.momastore.jp

チーコ|ちーこ

季節の光と花の作用にフォーカスした花屋として渋谷区西原で〈Forager〉を運営。ささやかだけれど魅力的な花々を中心に、ジェンダーフリーな花の景色を提案している。都内のカフェやショップへの生け込み、ポップアップイベントでの生花の販売や、撮影用のスタイリングなど幅広く活動している。

〈Forager|フォレジャー〉

東京都渋谷区西原2丁目26-5 パールマンション101。*最新の開店スケジュールはインスタグラム@forager_nishihara_tokyoでチェック。

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