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江口宏志と熊谷彰博が明かすフリーマガジン『NOT FAR』全8冊の創作秘話。

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November 22, 2023 | Design, Culture, Fashion | casabrutus.com

〈T-HOUSE New Balance〉を中心に配布されるフリーマガジン『NOT FAR』は、最新の8号目が発行されたばかり。そのテーマはどのように掘り下げられたのかを、編集長の江口宏志とアートディレクターの熊谷彰博に聞いた。また、『NOT FAR』が11月23日(木)から26日(日)まで開催される『TOKYO ART BOOK FAIR 2023』に出展する情報も紹介します。

『NOT FAR』のアートディレクター、熊谷彰博による既刊を用いたビジュアル。毎号背のかがり糸は色を替え、日英両表記の日本語部分は紙を縦半分に断ち切って使用。

「ちょっとそこまで」。編集長の江口宏志は創刊号の巻頭にその言葉で思いを綴った。〈T-HOUSE New Balance〉を中心に配布されるフリーマガジン『NOT FAR』は、8号目が発行されたばかり。プロジェクトは新型コロナウイルスが社会問題化すると同時に始まった。コンセプトを探るうちにコロナ禍が広がり、自ずとタイトルも決まったという。

最新号のテーマは「アーカイブ」。 〈TOKYO DESIGN STUDIO New Balance〉の活動においても大きな意味を持つ「アーカイブ」をテーマに、さまざまなアーキビストへの取材を敢行。ボストンのニューバランス本社にいるアーキビストへのインタビューなどから、収集の意味を探っている。

「遠くに取材には行けないな、という気持ちから出てきたタイトルだったように思います。物理的に外へ出られない状況だったので、世界の隅々まで見に行こうというよりも、もっと身近なところから少し足を延ばすことで少し思考を変えるような発見をしていこうという意味合いをこめました。もう一つにはニューバランスというバックグラウンドをもつマガジンだからこそ、そこに留まらずに動き出すというテーマにしたかったんです」と、江口は言う。

01 あらためて向き合った移動することの意味。(2020.01) コロナ禍のなかで編集作業が進められた創刊号は「移動/Moving」をテーマに、あらためて「自分の足で移動すること」について考えた。〈T-HOUSE New Balance〉完成までの経緯を追うドキュメントも掲載し、海外情報も充実。

1号目のテーマは「移動/Moving」。世界的に動けないという制約が生まれたタイミングに、人々のちょっとした生活の試みや思いを世界のいくつかの街からすくい取り、動くことへの渇望とその魅力を逆説的に提示した。

毎号ではないものの、エディターやデザイナーがゲスト参加する点がユニークだ。もともと取材に行けない時期に遠隔で協力してもらったことをきっかけに、その多角的な視点が雑誌に面白い結果を生み出すことから不定期で取り入れている。江口はアートディレクターに招いた熊谷彰博らと対話を続けながら、企画を探る。

04 都市とともに変わるスポーツカルチャーに着目。(2021.08) 前号に引き続き「スポーツ」をテーマにした一冊。フランス・パリの『Whereisthecool? Magazine』 とオーストラリア・メルボルンの『Good Sport Magazine』の協力のもと、それぞれの都市で活動するスポーツカルチャーを紹介した。

「みなで話していて、個人的な興味や関心が合致する場所を見つけることから始まります。共有認識やその周辺を探ることを重視します」と、江口は言う。

「企画会議というよりもちょっとしたおしゃべりのなかで内容が決まっていきます。江口さんからなんとなくテーマが示され、雑談から採用されるものやこぼれ落ちるものもあって。その線引き、きっと、『ちょっとそこまで』という感覚なのかな。それは単に物理的なことに限らない、解釈の距離。それがこの本のテーマにあるように思います」と熊谷は続ける。

07 ユニセンシャルから紐解く、これからの時代性。(2023.05) 〈TOKYO DESIGN STUDIO New Balance〉のアパレルラインと連動して「Uni-ssential」をテーマとした号。身の回りにある普遍的なジェンダーや国籍、年代を超えた暮らしを探りながら、時代の見据えるものを提示した一冊に。

いまは大きな主体よりも、小さな主体が語る物語がなにより共感を生む時代だ。おしゃべりから生まれる、「ちょっとそこまで」の距離の出来事。そこから紡がれる誌面は読者の共感や発見を促すものとして届けられている。

『TOKYO ART BOOK FAIR 2023』に『NOT FAR』が出展します。

最新号の『NOT FAR』08は、〈T-HOUSE New Balance〉ほか、取り扱い店舗にて配布されている。なお11月23日(木)から26日(日)まで開催される『TOKYO ART BOOK FAIR 2023』に『NOT FAR』が出展する。会場ではニューバランスの会員サービス「myNB」に登録した人を対象に最新号『NOT FAR』08の配布(数に限りがあり、なくなり次第終了)を行う。また、『TOKYO ART BOOK FAIR 2023』の会場と〈T-HOUSE New Balance〉を繋ぐ特別な企画も予定。詳しくは、〈T-HOUSE New Balance〉のInstagram(@newbalance_t_house)で確認を。

熊谷彰博

デザイナー/ディレクター。1984年東京都生まれ。物の見方を探求し、独自の視点と文脈の再構築からプロダクトデザインやグラフィックデザイン、企画展示のディレクションなどを行う。近年は自身のアート作品でも評価が高い。

江口宏志

蒸留家。1972年長野県生まれ。2002年にブックショップ〈ユトレヒト〉開業。2015年蒸留家へ転身。2018年に千葉県大多喜町の元薬草園を改修し、蒸留酒製造所〈mitosaya薬草園蒸留所〉を開業。

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