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【本と名言365】ヴィヴィアン・ウエストウッド|「わたしがやってきたのは、体制と対峙して、…」

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November 3, 2023 | Culture | casabrutus.com

これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。「パンクの女王」で知られ、環境活動家としても活発に取り組んだヴィヴィアン・ウエストウッド。デザイナーである彼女にとってのファッションの本質とは?

ヴィヴィアン・ウエストウッド/ファッションデザイナー

わたしがやってきたのは、体制と対峙して、自由はどこにあり、自分にはなにができるのかを模索することだった

ヴィヴィアン・ウエストウッドがファッションデザイナーとして歩みを始めたのは1971年のこと。反体制派のマルコム・マクラーレンに出会ったことがきっかけで、彼と共同でブティックをオープン。そこに並んだ権威に反抗するファッションがパンクの代名詞として広まっていく。
店の常連だった若者たちが「セックス・ピストルズ」としてデビュー。バンドの人気とともに、ヴィヴィアンたちが手がけたファッションが流行に敏感な若者を中心に支持を集めるように。

1980年代初頭、マクラーレンと別れたヴィヴィアンは自身のブランド「ヴィヴィアン・ウエストウッド」を立ち上げる。18世紀のファッションに夢中になり、コルセットやボンテージ、装飾的な要素とイギリスの伝統技術を融合させたアヴァンギャルドなスタイルを確立。フランス革命や第一次性革命から勇気づけられた当時の女性たちをコレクションのモチーフに取り入れることで、現代社会になんらかの示唆をもたらせると感じていたのだ。王室や上流階級を皮肉ったり、政治スローガンを書いたTシャツなど挑発的なスタイルは常に議論を巻き起こし、話題を呼んだ。

晩年は人権擁護や環境保護を目的としたアクティビストとしてエネルギッシュに活動。ハイファッションの世界で得た名声と地位をフルに活用して、声を上げ続けた。ヴィヴィアン・ウエストウッドにとって「ファッション」とは単なる衣類のことではない。「わたしがやってきたのは、体制と対峙して、自由はどこにあり、自分にはなにができるのかを模索することだった」「服には、着る人の体型はもちろん、性格や考え方まで表れる」
と語っていたように、自己表現の一部であり、社会に対する武器なのだ。不正に対して声を上げ、人々に問題提起をする。社会を揺るがし、革命をもたらす。その力がファッションにはあるとヴィヴィアンは信じていた。

約70年間の生涯を自ら振り返り、幼少期から、ファッションデザイナーとして成功を収め、環境活動に至るまでの生涯を語る。『ヴィヴィアン・ウエストウッド自伝』著・ヴィヴィアン・ウエストウッド、イアン・ケリー 訳・桜井真砂美/DU BOOKS 4400円

ヴィヴィアン・ウエストウッド

1941年イギリス生まれ。1970年代からファッションの世界で活躍。パンクやニュー・ウェーブ・ファッションの先駆者として知られる。1992年には大英帝国勲章四等勲爵士を授与。2022年没。

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