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ビルトとアンビルトを巡る内藤廣の大規模個展。

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October 22, 2023 | Architecture | a wall newspaper

内藤廣の建築展が自身の手がけた〈グラントワ〉にて開催中。代表作から未完の大作まで、その軌跡を案内するのは2つの鬼?

『建築家・内藤廣/BuiltとUnbuilt 赤鬼と青鬼の果てしなき戦い』の入り口。本展の案内人である、内藤のキャラクターを2つに分けた赤鬼と青鬼の挨拶から始まる。

〈島根県立石見美術館〉(島根県芸術文化センター「グラントワ」内)で開催中の『建築家・内藤廣/BuiltとUnbuilt 赤鬼と青鬼の果てしなき戦い』は内藤の膨大な作品を、実現した建築群=ビルトと実現しなかった建築群=アンビルトに分け、模型や図面などを通してその活動の軌跡を辿っていく内容だ。

展覧会の案内役を担うのは、内藤自身の内面を2つに分けた“赤鬼“ と “青鬼” 。自己主張が強く純粋な性格の赤鬼と、現実的で冷静な青鬼。内藤が建築を手がける際に出現するこの2つの鬼が、本展では対話をする形で各作品を解説していく。

・Built 内藤廣の建築

「Built」のエリアでは、1984年~2023年に手がけた37の建築を紹介。写真は〈グラントワ〉の模型。世界各地で出会った建築からインスパイアを得た庭が、中央に配されている様子が見て取れる。

ビルトのエリアには、〈海の博物館〉や〈牧野富太郎記念館〉など、内藤の代表作がずらりと並ぶ。全体の模型に加えて、柱のトラス構造などディテールに寄った模型も展示され、内藤建築を細部まで鑑賞することができる。中でも注目は本展の舞台でもある〈グラントワ〉の展示で、コンペ案や建設中の写真、会場の壁面に描かれた巨大な断面図などを通して、内藤がいかに熱意を持ってこの作品を手がけていったのかを知る。

・Unbuilt 内藤廣の思考

「Unbuilt」のエリアには、33のアンビルトと12の進行中のプロジェクトを展示。写真は2012年に設計した〈アルゲリッチハウス〉。

アンビルトのエリアには、卒業設計からコンペの落選案、映画のために制作したイメージボードまで、「いわば僕の失恋話」と内藤が語る、さまざまな実現しなかった作品を展示。実現こそしていないが、アンビルトの作品に見られる要素が時を経てビルトの建築に見られたりと、実在の建築だけでは知り得ない、内藤建築の変遷や進化を総覧的に知ることができる。

・BuiltとUnbuiltをつなぐもの

〈海の博物館〉の展示棟と収蔵棟の架構を5倍に延長した模型。実現している建築の架空の姿は、ビルトとアンビルトを繋ぐ存在。本展で最初に内藤が手がけた模型だ。

そのほか現在進行中のプロジェクトの展示や、著書から抜き取った言葉を壁面にコラージュしたインスタレーションなど、4つのエリアに多彩な要素が展開される本展。赤鬼と青鬼とともに、内藤建築を巡る旅に出てみたい。

・内藤廣の言葉

数多くの著書も手がけてきた内藤。その著書群から印象的な言葉を抜き出し、壁にコラージュしている。

そのほか現在進行中のプロジェクトの展示や、著書から抜き取った言葉を壁面にコラージュしたインスタレーションなど、4つのエリアに多彩な要素が展開される本展。赤鬼と青鬼とともに、内藤建築を巡る旅に出てみたい。

『建築家・内藤廣/BuiltとUnbuilt 赤鬼と青鬼の果てしなき戦い』

〈島根県芸術文化センター グラントワ〉島根県益田市有明町5-15。~12月4日。9時30分~18時。火曜休。1,200円。

内藤 廣

ないとうひろし 1950年神奈川県生まれ。早稲田大学大学院時代に吉阪隆正に師事。菊竹清訓建築設計事務所を経て、1981年に独立。主な作品に〈海の博物館〉〈日向市駅〉など。2023年には多摩美術大学学長に就任。

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